スズキの人気軽SUV「ハスラー」が2026年5月27日に大幅改良を実施しました。初代モデルの登場以来、“遊べる軽”という独自のコンセプトで人気を集めてきたハスラーですが、今回の改良ではその世界観を維持しながら、安全性能や快適装備、走行性能を大幅にブラッシュアップしています。
単なる装備追加にとどまらず、毎日の使いやすさや長距離移動での快適性を高める改良が数多く盛り込まれている点が特徴です。今回はアウトドアレジャーに好適な「ハスラー タフワイルド」の4WDターボモデルに試乗し、その進化を確認しました。
ハスラーらしさを残しながら力強さをプラス

エクステリアは、丸型ヘッドランプとスクエアなボディというハスラーならではのデザインを継承しています。フロントグリルやバンパーを刷新したことで、標準モデルはより軽快で親しみやすい印象に。一方、タフワイルドは大型ブロックパターンのグリルと「SUZUKI」エンブレムによってSUVらしい力強さを演出しています。



新色として「フュージョンイエローパールメタリック」や「ウッドランドカーキメタリック」が追加され、アルミホイールもグレードごとに専用デザインを採用するなど、細部まで質感を高めています。従来型からのイメージを損なうことなく、より洗練されたスタイルへと進化した印象です。

快適性を大きく向上させた室内



室内は水平基調のインパネによる開放感と、大きなガラスエリアによる優れた視界が魅力です。着座位置が高いため見晴らしがよく、ボンネットの見切りも良好で、狭い道でも車両感覚をつかみやすく感じました。後席も頭上・足元ともに余裕があり、大人4人が乗車しても窮屈さを感じさせません。

そんななか、今回の改良で最も恩恵を感じた装備が、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドの採用です。これまでの足踏み式パーキングブレーキから大きく進化し、信号待ちではブレーキペダルを踏み続ける必要がなくなりました。市街地では停止と発進を繰り返す場面が多いだけに、この装備追加による快適性の向上は想像以上です。日常的にクルマを利用するユーザーほど、そのありがたみを実感できるでしょう。
安全性能は軽自動車トップクラスへ


今回の改良で最も大きな進化を遂げたと言えそうなのが安全性能です。軽自動車として初めてブラインドスポットモニターとリヤクロストラフィックアラートを全車標準装備。さらに衝突被害軽減ブレーキとして、新たに単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポートII(DSBS II)」を採用したのです。


DSBS IIは従来よりも認識範囲や測距精度を向上させたうえで、交差点や自転車との事故防止性能を高めているのが特徴となっています。また、車線変更時には後側方から接近する車両を検知し、駐車場から後退する際には左右から接近する車両を知らせるなど、日常でヒヤリとしやすい場面を幅広くサポートしてくれます。
これらは単なる「安全装備の追加」ではなく、ドライバーの負担を軽減し、安心して運転できる環境を整えることにつながっています。まさに安全面での大きな改良といえるでしょう。
高速道路で真価を発揮するACC
DSBS IIの進化はアダプティブクルーズコントロール(ACC)にも反映されています。電動パーキングブレーキの採用によって渋滞停止後も自動で停止状態を保持できるようになり、再発進もレジュームボタンまたはアクセル操作だけで済むようになりました。
さらに車線維持支援機能(LKA)との連携によって車線中央付近を自然に維持し、区画線が見えにくい場面では先行車の走行軌跡も活用します。また、新たに採用されたカーブ速度抑制機能では、カーブ進入前に自動減速し、通過後は設定速度へスムーズに復帰します。

実際に高速道路で試してみると、従来よりも制御が自然になり、ドライバーはステアリング操作に集中できるようになった印象です。長距離ドライブでの疲労軽減効果は大きく、軽自動車のACCとして非常に完成度の高いシステムに仕上がっているのは間違いありません。
軽自動車の常識を超えた走り

市街地ではその乗り心地の良さに驚かされました。4WD車に採用されるスズキ独自のアイソレーテッドトレーリングリンク(I.T.L)は、リジッドサスペンションとは思えないほどしなやかに路面の凹凸を吸収します。路面の継ぎ目を通過しても角が丸められたような印象で、不快な突き上げはほとんど感じませんでした。
試乗車はターボモデルだったこともあり、高速道路への合流も余裕で入っていけます。マイルドハイブリッドとの組み合わせによって加速もなめらかで、直進安定性も高く、横風によるふらつきも抑えられています。さらに静粛性も高く、高速巡航時でも会話がしやすいレベルに達していました。軽SUVであることを忘れさせるほど完成度の高い走りを実現していたと言えるでしょう。
優れた燃費と高い実用性

燃費性能もハスラーの大きな魅力です。4WDターボ車でありながらWLTCモード燃費は20.4km/Lを達成し、高速道路中心に走行だったとはいえ、試乗でも22km/Lを超える好燃費を記録しました。アウトドア性能と経済性を高いレベルで両立している点は高く評価できます。

使い勝手の面でも完成度は高く、左右独立可倒式の後席によってフラットな荷室を実現しています。キャンプ用品やベビーカー、長尺物まで積載しやすく、荷室には汚れを拭き取りやすい素材を採用するなどアウトドアでの使い勝手にも配慮されています。




さらに、インパネトレーやセンタートレー、ドリンクホルダーなど収納スペースも充実しています。助手席だけでなく運転席側にもシートバックポケットを備えるなど、日常での使いやすさを考えた細かな工夫も随所に盛り込まれていました。
幅広いシーンで活躍できる万能な軽SUVへ大きく進化
今回のビッグマイナーチェンジによって、新型ハスラーはマイナーチェンジの域を超えた進化を遂げました。デザインは従来の個性を維持しながら質感を高め、安全性能ではDSBS IIをはじめとする最新装備を採用。さらに電動パーキングブレーキや進化したACCによって、高速道路での快適性も大幅に向上しています。
走りではしなやかな乗り心地と優れた静粛性を実現し、燃費性能や積載性、収納力など実用面でも高い完成度を誇ります。“遊べる軽”というコンセプトはそのままに、街乗りからロングドライブ、アウトドアまで幅広いシーンで活躍できる万能な軽SUVへと熟成を遂げた一台でした。
今回は現ハスラーとして最終形となるかもしれないビッグマイナーとなりましたが、その進化は想像を超える充実した内容で、ハスラーの商品力は確実にワンランク上へと引き上げられています。軽SUVを検討している人はもちろん、コンパクトカーからの乗り換えを考えているユーザーにとっても、有力な選択肢となる一台と言えるでしょう。
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写真/宮越孝政