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2022/12/16 20:30

安田忠夫の映画を夢想し、金魚すくいにハッスルしてしまう映画監督の日常

「足立 紳 後ろ向きで進む」第32回

 

結婚20年。妻には殴られ罵られ、ふたりの子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々——それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!

 

『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。

 

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11月4日(金)

近所の酉の市(一の酉)に久しぶりに家族で行く。去年一昨年は出店がなかったが、今年は復活したので息子も娘もついて来た。4人で神社に並んで去年の熊手を奉納し、いつもの業者さんから熊手を買う。柏手を打ってもらい、息子は大喜び。娘は照れている。我が家はゲン担ぎに最も力を入れているので、これは毎年大切な行事だ。

 

その後、娘と私と息子は出店で買い食い祭り。妻は私たちの散財に激しくストレスを感じるようでずっと文句を言い続けている。大盛ヤキソバに喜んでいると、「入れ物が小さいだけだ」、娘がたこ焼きを欲しがると「私が作ったほうが絶対美味しいから家まで我慢しろ」、息子がお面を欲しがると「そんなものすぐに壊れる」、私が牛串を買うと「あんな冷凍肉の塊、まずいに決まってる」とイチイチうるさい。祭りを楽しむ気は1ミリもない妻の言動にこちらもゲンナリしてくる。

 

楽しかったのは息子がやった金魚すくいだけだ。1回300円で2回、私は見ていただけだが息子はすいすいと8匹すくった。もしかしたら金魚すくいの才能があるのかもしれない。家に帰って、メダカの水槽に金魚をいれた。私は金魚を飼うのは初めてだが、見ていてまったくあきない。熱帯魚にはまる人たちの気持ちも少し分かった。「魚 睡眠」などと検索までしてしまった。

 

11月5日(土)

とある都立高校の学校見学に娘と。受験生の娘がいくつかピックアップしてきた中では偏差値が高めの学校なのだが、自由な校風で化粧もオッケー。こういう文章を書くと「キモイ親父」と言われるのは覚悟だし、正真正銘のキモイ親父なのだが、その高校の女生徒はいわゆる「ケバい」子が多いように見受けた。私のような古い価値観のキモイ親父としては、偏差値が高くてケバいというのは二刀流のような気もして、いいじゃんこの学校などと思ったのだが、陰キャの娘はいまいちこの学校に乗らないようだった。

 

しかし、もう何度も書いているが都内は高校が多い。学校見学だけでも大変に疲れる。基本的に学校見学は行ける限り私が行くことにしている。それはなぜかというと、今現在ややバタバタしており、妻と比べて私は子どもと過ごす時間が少ない。あとになってからいろいろと知らなかったと言いたくないから、なるべくついて行けるときは行きたいと思うのだ。帰りに夕飯の材料(羊とたまねぎ)を買って帰る。

 

11月6日(日)

息子の誕生日の夕食会が延期につぐ延期になっていて、今日行った。息子が選ぶのは焼き肉か近所のステーキ屋さんなのだが、今日は焼き肉とのことで行ったのだが、とにかく「上」とつくものを注文すると妻がすぐに不機嫌になるので子どもたちが不憫でならない。たまにのことなんだから好きなものを食わせろと思う。「食い意地だけはりやがって」と妻は言うのだが、そういう妻は「飲み意地」がものすごい。

 

※妻より

結局いつも食べ切れない量を注文して、子どもが残すのが嫌なんです。それを「もったいない、もったいない」と食べて、私一人がブクブク太る……。私は頼んだ酒は1ミリも残さずに飲み切りますから。

 

11月7日(月)

昼、娘の中学に3者面談に行く。進路の話。それにしても、高校受験など学校側が手続きとかやってくれるのかと思っていたが、面倒な事務作業がいろいろとある。事務作業が極度に苦手な私は説明を受けてもまったく頭に入って来ない(それで何度もバイトや仕事を逃げた)。妻に行ってもらうべきだった。

 

その後、夜に外出する予定があったので、新宿の喫茶店で仕事をした。そういう時に限って、その喫茶店に資料を忘れたことを帰宅してから気づいた。明日、取りに行かねばならないが、めちゃくちゃ面倒くさい。

 

11月8日(火)

こみずとうさんのお店に昼飯を買いに行く。久しぶりのとうたりんぐ祭り。ついつい食べ過ぎてしまう。唐揚げ好きの私だが、とうたりんぐの唐揚げが一番好きだ。味付けから肉の部位から最高なのだ。娘と息子も大好きなので、彼らのぶんも買ってきてやる。

唐揚げも、カレーもハヤシも本当に美味しかったです!!

 

その後、忘れ物を新宿の喫茶店に取りに行ったついでに、その喫茶店で夕方まで仕事をする。私よりちょっと年下くらいの40代半ばあたりの男性ふたりが、子どもに英語を習わせるタイミングのことで熱く語っていらした。ひとりが、娘が2歳になったら習わせようと思うと言うと、もうひとりは、ウチは3歳から習わせてインターナショナルスクールにも通わせたが、その結果、日本語も英語も中途半端なコミュニケーションしか取れなくなったと話していた。その娘はまだ5歳とのこと。

 

帰りに夕飯の材料(牛肉とサンマと刺身)を買って帰る。

 

11月10日(木)

妻とケンカ。理由は私が書いた脚本を読んだ妻が、「ここ、わからない。ここ、いらない。ここ、つまらない」と正直に意見を言ったからだ。

 

正直に言ってほしいと頼んだのは私なのだが、批判を受け止めることができず、私はムキになって「え、なに? じゃ、どう直せばいいの? じゃ、アキが書いてよ! そんだけ言うなら、アキが解決してよ!」と言ってしまった。

 

開き直るつもりはまったくないのだが、これは立派なパワハラである。他人からの指摘を受けきれず、ムキになって唾を飛ばして反論してくる人が皆さんの周囲にもいると思う。 私はいつもそういう人を見ては、「ああはならないようにしよう」と思っていたのだが、意外と(でもないか)私もそっち系の人間なのである。

 

妻はそんな私に鬼の表情で「ファーック!! おめえファーック!!! 死ねよ! 今すぐに死ねー!!!!!」とおきて破りの逆パワハラで返してくるのでまだいいのだが(よくない)。

 

最近、私が書いているシナリオにお寺の和尚さんの登場があったので、勉強のために和尚さんのありがたい言葉を聞くYouTubeを見ることが多くなっていたのだが、YouTubeを見ている間は和尚さんの言葉に私も改心を誓ったりした。しかし、その誓いは3秒と持たない。やはり永平寺あたりにせめて一泊修行にでも行かないと私という人間は変わらないのかも知れない。

 

妻に「出て行け! パワハラ野郎とは一秒たりともいたくない!吐き気がする!」と言われ、そのまま私は脚本を書いていた映画の撮影現場に陣中見舞いに行き、先日NHKのシナリオチームに200倍の競争率を突破して受かり、一緒に脚本を書いた山口智之君と酒を飲んで帰った。

 

11月11日(金)

朝、一応、妻に謝る。が、この「一応」というのを完全に見抜かれている。

 

妻に「あんたはイライラの矛先を間違えている。外で言いたいことは飲み込んで、その苛立ちや怒りを家で八つ当たりするのは人間失格だ。DVだ。パワハラでモラハラだ。本当に弱すぎる! どこまでも天までも弱くみっともなく情けない人間だ! 気持ちが悪い!」と言われ、またも途中で受けきれなくなり、言い返してしまい、口論へ。

 

今日は妻が出て行き、この日、帰宅せず。娘と息子に豪勢な夕飯を作ってやると、ふたりとも「うますぎる!」と言いながらバクバクと食べた。

 

※妻より

喧嘩の詳細は書きませんが、こーいうことをいちいち書くところが腹立ちます。子どもらは「うますぎる!」なんて思ってやしません。不穏な家庭内の空気に気を使っただけです。そーいうところに気が付かないと……。

 

11月12日(土)

息子の小学校の音楽発表会。息子は常日頃から非常に緊張しいの上に不器用なので楽器を弾くことが大嫌いで、毎年音楽発表会のこの時期はいつもに増して「絶対に休む!」と言っていた。だが、今回は合奏する「オブラディ・オブラダ」を理由は分からないがいたく気に入ったようで、家の誰も使っていないピアノで弾いたりもしていて、楽しみにしていた。そんな息子の姿を夫婦で仲良く観に行きたかったが、妻は昨日出て行ったまま帰って来ず。

 

今日は映画『あなたの微笑みに』(監督:リム・カーワイ)を一緒に観に行く約束を前々からしており、初日舞台挨拶のチケットも取っていたので、まあ、どうなるのかな今日は…みたいに思いながら息子の学校へ行くと、妻も音楽発表会の片隅にいた。

 

しょうがないので、妻の横にヘラっと行く(しょうがないってなんだよ! BY妻)が、妻は見向きもしない。

 

息子たちはマスク越しにまずは合唱。なぜか息子はずっとニタニタとしている。その笑顔はとてもかわいい。笑顔のまま「レッツゴー・タマゴ」を歌う。続いてマスクを外し「オブラディ・オブラダ」の合奏。一生懸命ピアニカを吹いていた。終わるとまた笑顔になった。いろいろと生きづらさを抱える息子ではあるが、基本的に日常生活では笑顔が多い。その笑顔をうっすらとでもいいから浮かべ続けて生きていける人生を歩んでほしい。それがなにかを誤魔化す笑顔だったとしても、私はしかめっ面よりは息子に似合っていると思う。ただし、笑顔よりもしかめっ面のほうが似合っている人もいる。

 

合奏が終わると、妻がさっさと会場から出て行くので私もそのあとを追う。とりあえず、学校から駅までダッシュ、駅の乗り換えでダッシュ。駅から劇場までダッシュしまくった。ダッシュしながら「昼食何食べようか?」と聞くも、「お前とは食べたくない」と即答。返事をしてくれただけでも、この喧嘩を続ける気がないのがわかった。

 

『あなたの微笑みに』はとても面白かった。渡辺紘文さん扮する主人公の映画監督が(渡辺さん自身が映画監督でもあり俳優でもある。私の『喜劇愛妻物語』にも出演してくださった)自作の映画をかけてもらえないかと全国のミニシアターを回る物語だ。映画監督版『男はつらいよ』といった趣で爆笑しつつ、その自由な作り方も心底羨ましくなる。

 

見終わったあと、私は思わず妻に「『喜劇愛妻物語』の続編は自分たちでやろう! もともとそういうつもりだったでしょ?」と言ったら、妻は「まあ、それもありか……」とつぶやいた。そのつぶやきを、私は自分のSNSに「映画を観終わったあとに妻が『喜劇愛妻物語』の続編は私たちでやるしかない!と言った」と書いたら、これが妻の逆鱗にまたも触れてしまい、せっかく仲直りできていたのがまたオジャンになってしまった。

 

※妻より

こーいう、適当なウソの積み重ねが本当にムカつきます……。

 

夜、俳優の眼鏡太郎さんとマネージャーのWさんと久しぶりにお会いして少し飲む。おふたりの話を聞く予定だったのに、我々夫婦の話しを聞いていただいてしまった。というか無理やり聞かせてしまった。

 

眼鏡太郎さんから絵を頂きました! 我が家の縁起物がまた増えて嬉しい!

 

11月13日(日)

息子と妻が保育園のころからの友達たちとピクニックに行ったので、久しぶりに日曜日を丸まる仕事にあてた。

 

夕方、疲れたので近所のいつものサウナに行くと、「え!?」と引くくらい激混み。日曜はこういう状態なのか……。入店せずにそのままこれもよく行く近所のマッサージ屋さんへ。いつものパクさんに予約が入っていて空いておらず、代わりに女性の方にやっていただいたのだが……かなりご年配の方。もっと強く! 強く! と何度もお願いするが、まったく強くならない……。「もう……これ以上無理……」と死にそうな声でおっしゃるので私も諦めた。

 

11月17日(木)

昼まで仕事をして、その後にシナリオ作家協会のシナリオ倶楽部に久しぶりに顔を出した。チームライティングを考える的なテーマで先日、NHKのシナリオチームに受かった山口智之君が話すということで、数年ぶりに参加した。

 

正直、連続ドラマなど長い物はチームで書いたほうが私もいいと思う。だがそのためには企画の芽の段階からライティングチームとディレクションチームとプロデュースチームががっちりスクラムを組んでいく必要はあるかと思う。そういうプロジェクトに私も参加してみたいと思うし、そういう企画を考えてもみたい。

 

とりあえず今、私は元大相撲力士でのちにプロレスに転向した安田忠夫さんをモデルにしたドラマを作ってみたい。安田忠夫さんはギャンブルにはまり、大相撲をやめてプロレスに転向、その後総合格闘技を何試合かして、自殺未遂などもしたあげく、後輩のレスラー(ケンドー・カシン)の実家の養豚場で働くもそこもやめてしまう……。相撲やプロレスなどの今まであまり描かれることのなかったコアな部分を描くことができるのと、安田さんの人間性を描くことで現代社会が抱えているハラスメントの構造や、人が人を見捨てる問題なども描けると思うのだ。もちろんすごいエンターテイメントにもなると思う。西村賢太作品と同様に「いつかは……」と思っている企画だ。

 

11月19日(土)

今日も娘と高校の説明会。先日の偏差値高いけどケバい高校よりも、偏差値は少し低いけど落ち着いた雰囲気みたいな高校の見学だ。女子サッカー部とかソフトボール部とかの見学もできて、娘的にはかなりテンションがあがり「この学校を第一志望としたい」とのこと。中学時代は(今も中学生だけど)野球のことや部活のことでも大いに悩んだりしたから、高校時代はひたすら楽しいといいなあと願う。帰りに学校近くの商店街の焼き鳥屋で10本焼き鳥を買って私が6本、娘が4本食べた。

 

家に戻ると、妻が息子含めて何人かの男の子たちを怒鳴りつけて家から追い出していた。大人が家にいないときは、家には入らないという約束を破り(各家庭でお母さんたちがそういう協定をしている。そういうところでも父親はダメだ、世間話はするがそういうコミュニケーションは取らない)息子が友達を入れていたのだ。

 

「そんな怒鳴らくても」と言うと、猫を追いかけまわしたり子どもたち同士もうまくやっていなかったりで騒がしく、仕事が出来なくなりブチ切れてしまったとのこと。私が子どものころには近所に怖いおばさんがいたが、近ごろはいなくなったから妻がそうなってもいいかもしれないと思った。私だけに怖いのはどうかと思うし。

 

11月21日(月)

1か月ぶりの教育支援センター。近ごろの息子の様子を相談するも、ほとんど我々親の心の持ちようの相談と化す。話の流れから、支援センターの先生が格闘技好きと分かって、20年くらい前の格闘技界の話でも盛り上がった。

 

11月23日(水)

息子、2か月振りのマンツーマンの療育へ(先月は行く途中で癇癪が出てしまい、牛歩したり、コンビニに隠れたり、挙げ句動けなくなり、お休みしてしまったのだ)。

 

久しぶりで緊張したのか、気恥ずかしかったのか、先生のPCを抱え込んで返さなかったり、時計を隠したり、漫画から顔をあげず先生の顔を見なかったり明らかにいつもと違う行動。見ていられない……。

 

先生から「最近学校どう?」と聞かれると「話したくない」とのこと。学校はやはりあまり(と言うかまったく)楽しくないのだろう。

 

そう言えば、近ごろはランドセルからものを出した形跡もない。想像するに、ずーっと心を無にして6時間椅子に座っているのだと思う。それは面白くないだろう。帰りに夕飯の材料(豚肉とサンマ)を買って帰る。

 

11月24日(木)

午前中から昼すぎまで脚本のオンライン打合せ。

 

その後、夕方から映画『わたしのお母さん』の杉田真一監督と渋谷ユーロスペースにて上映後にトーク。渋谷駅が分からなさ過ぎて、いつもと違う出口から出たら迷いに迷いまくってユーロスペースまで全力疾走。

 

作品は、うっすらとうっすらと娘の心を無意識に削り続けた母親とその娘の話。実はこういう重苦しいのに、なんとなくそれを重いと言うのはちょっと憚れるかも……というような関係の親子、兄弟、姉妹は多そうな気がする。これが赤の他人ならば距離を置けばいいのだが、肉親だと「距離を取れ」と言われても、うまくそうできない人もいる。そういう人たちに寄り添いに寄り添った映画だと思う。

 

11月25日(金)

午前中、いつもの喫茶店で仕事。この喫茶店を仕事場にしてから1か月くらいたった。私はいつも同じ場所に座っているし、そろそろ私のあだ名がついていそうな気がする。

 

「ハナクソ」「スポニチ」「ハゲ」「ヒゲ」あたりか。どう考えてもポジティブ系は思い浮かばない。あ、「トマトジュース」というのが一番マシか。

 

夜、「城山羊の会」、鑑賞。相変わらずの面白さ。来年放送の『ブギウギ』でご一緒させていただく趣里さんも出演されていて、やはりとても面白いお芝居をされていた。

 

11月26日(土)

本日も朝から娘と高校の説明会。もう毎週末怒涛の説明会だ。昼飯を高校周辺のハンバーガー屋で食べた。ハンバーガーにしてはやや高い店だが、寿司ならば「え、こんなに安いの!?」という値段だ。娘は「美味しい!!!!! こんな美味しいハンバーガは食べたことがない!!!」と感動していたので、久しぶりに父親気分に浸った。

 

午後から、『雑魚どもよ、大志を抱け!』の取材。久しぶりに主演の池川侑希弥君と会った。会うたびに大人びて行く。私はどう思われているだろうか。「会うたびに禿げていくな」と思われてはいないだろうか。周囲はAGA治療でフサフサになっている人が何人かいるので私も行ってみようと思っているのだが、面倒くささと性欲減退の副作用があるという説に負けて今のところ先送りしている。私から性欲を奪ったらなにも残らない。が、この日記のネタのためにも年内には行ってみようと思う。

 

11月28日(月)

5時間授業だったので、息子の友達が3人きて、居間でホラー映画鑑賞会。私が2階で仕事をしていると、キャーキャー悲鳴が聞こえる。それはとても心なごむ音だった。

 

夜、妻が筋トレのジムに行くので息子とふたりで三の酉へ。息子とともに出店で大いに食う。すると友達と来ていた娘と出会い、まだ一口も食べていなかったチーズ揚げを巻き上げられた上に、1000円もかつあげされた。「だってママが400円しかくれなかったんだもん」とのこと。確かに中3娘が祭りに行くのに400円はあんまりだろう。

 

※妻より

前日に2000円渡してます。当日も「金クレ」と来ましたが、手持ちが400円しかなかっただけです。あげ過ぎ。

 

そして一の酉同様に金魚すくいへゴー。なぜか100円値上げされており400円になっている。妻が来ていたら絶対に店員さんというのかテキヤのお兄さんに文句を言っていたであろう。

 

今日は私も数年ぶりに挑戦したのだが、え、金魚すくいってこんなに面白かったっけ!? と思うほどで、息子4回、私3回で計2800円使ってしまった。

 

が、前回よりもゲットした獲物数はへった。デメキン2匹、金魚4匹をゲット。息子は念願のデメキンをゲットしたので興奮しているが、私的には数が少なく残念だったねと息子と話していると、前を歩いていた高校生のカップルが突然振り返り「あの、すいません」と話しかけて来た。

 

私は咄嗟に、やばいカツアゲされるのか!? とビビったが、カツアゲする相手に敬語を使うわけはなく、そのカップルは「よかったら、これどうぞ。うち飼えないから」と金魚を5匹くれた。息子は大喜びで、「あの子かわいかったね」と言った。確かに可愛かった。

 

家に帰ると、息子が妻に金魚すくいですごいお金を使ったと報告してしまい、私は「領収書をもらって来い」と妻から言われた。「出店でも領収書はくれる、私はもらったことがある」と言うのだが、本当だろうか……(貰えるはず by妻)。

 

そしてウチの猫が金魚の水槽からしか水を飲まなくなった。

 

11月30日(水)

朝8時半から喫茶店で仕事。ひたすらに書きまくる。右の肩甲骨の菱形筋(りょうけいきん)というところがもう何年もこりつづけているのだが、今日はそこが痛くてたまらず2時間も机に向かっていると我慢できなくなった。右腕まで冷えて痺れたような感覚になってくるのだ。たまらずいつものマッサージに駆け込んだ。今日は無事パクさんにほぐしていただける。2時間のコースで1時間50分はひたすらに菱形筋をグリグリしていただいて、涎を垂らして寝た。

 

それにしてもなぜに右だけなのか。パクさんがおっしゃるには鉛筆を持っているからだとのことだが、鉛筆なら小学生のころから持っている。なのに45歳くらいまではなんともなかった。たまにバランスをとるために左手にペンを持って書いてみることがあるが、良いセリフが思い浮かぶことがたまーにある。

 

夕飯の材料(鶏肉)を買って帰る。

 

 

【妻の1枚】

 

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【プロフィール】

足立 紳(あだち・しん)

1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作「百円の恋」が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品「佐知とマユ」(第4回「市川森一脚本賞」受賞)「嘘八百」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「こどもしょくどう」など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。現在、最新作『雑魚どもよ、大志を抱け!』は2023年に公開予定。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『したいとか、したくないとかの話じゃない』(双葉社・刊)。