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2020/7/26 18:00

祝! 4年ぶりに走る「豊肥本線」−−魅力満点の復旧区間に注目

【豊肥本線の記録③】阿蘇駅までバスを使って訪れたものの

豊肥本線の不通となり、また並走する国道57号線も不通となったことから、阿蘇カルデラ内にある町村へのアクセスが非常に不便となった。

 

公共交通機関はバス便のみ。便利だった国道57号が不通となったこともあり、ミルクロードを走り北へ大きく迂回するルートを走らざるをえなくなった。2018年に熊本駅と阿蘇駅との間、バスで往復してみた。バス(九州産交バスが運行)を使うと熊本駅から阿蘇駅へは2時間以上もかかった(列車ならば1時間10分前後)。阿蘇くまもと空港に立ち寄るルートを走るためでもあった(やや遠回りとなる)。

 

↑8月8日まで特急「あそぼーい!」は別府駅〜阿蘇駅の間を走る。阿蘇駅〜肥後大津駅間のバス便のみで不便だ 2018年12月1日撮影

 

熊本への帰り道はちょっと残念な光景が見られた。

 

別府駅発、阿蘇駅行の特急「あそぼーい!」がちょうど到着。この日には、熊本駅方面へ向かう交通手段はバスしかない。多くの観光客が、バス停に殺到したのだが、バスの本数が少ない。現在、阿蘇駅を通るバス便は特急やまびこ号が1日に5往復、九州横断バスが1日に1往復である。つまり豊肥本線の補助的な役割として機能しているのだが、これがメインの交通機関としては脆弱なのである。肥後大津駅への代行バスもあるが、平日8本、土曜日は3本で、休日には運休となる。

 

こうした運行しているバスは高速バス用のため、立って乗ることができない。定員数が限られていた。筆者は幸いにも事前に予約をしていたために、事無きを得たが、乗り切れない人が大勢いた。まだ新型感染症の流行前ということもあり、海外からの訪日外国人が多く旅を楽しんでいた。バスに乗れずに、待ちぼうけとなった人たちはどういう気持ちだったろうか。知らない土地でバスに乗ることができない時の不安は、いかばかりかと案じられた。

 

実感したことは、路線が“不通”になるということは、非常に“不便”になるということだった。やはり豊肥本線が走らないとダメなのだ、と強く感じたのだった。

 

【豊肥本線の記録④】特急あそぼーい!が全線通して走ることに

地震、路線不通に関し、つい暗い話題になりがちだったが、ここからは8月8日以降の復旧後の話に移ろう。

 

すでにJR九州から特急列車の運行予定が発表されている。豊肥本線を走る人気特急と言えば、特急「あそぼーい!」。キハ183系4両編成で、前後に展望「パノラマシート」が付く。さらに親子が一緒に座れる「白いくろちゃんシート」が用意される。飲み物や軽食、土産が購入できる「くろカフェ」、「木のボールプール」があるなど、楽しいつくりの特急だ。

 

この特急「あそぼーい!」が熊本駅〜別府駅間を1往復走ることになった。走る曜日は土休日が中心で、平日は、変わりにキハ185系「九州横断特急」が走ることになる。時刻は熊本駅発が9時9分、別府駅着が12時32分。折り返し別府駅発が15時12分、熊本系18時29分着となる。

 

また別に九州横断特急が1往復走る。別府駅を朝7時51分に発車、熊本駅着が11時12分。折り返し列車は熊本駅を15時5分に発車、別府駅着が18時14分となる。

 

他に熊本駅〜宮地駅間を走る特急「あそ」も新たに1日に1往復(多客期間は3往復)新設される。これで阿蘇観光がかなり便利になりそうだ。

↑別府駅発の特急「あそぼーい!」。路線の復旧後は熊本駅へ直通運転が行われる。ただし同列車は土休日のみの運行になる予定だ

 

【豊肥本線の記録⑤】列車が走っていた頃の立野駅付近の風景

4年ぶりに復旧する豊肥本線。始めて乗車するという方むけに今回、復旧する区間の魅力を中心に紹介したい。乗車した経験があるという方は、読んでいただき“そうそう”と頷いていただけたら幸いだ。

 

まずは豊肥本線の魅力といえば、車窓で楽しむ阿蘇の山景色であろう。下の2枚の写真はそれぞれ立野駅近くの様子である。車内から望む阿蘇の景色は、乗車する区間で大きく印象が異なる。

↑左は立野駅〜赤水駅間から眺めた阿蘇。右は、立野駅〜瀬田駅間から眺めた阿蘇。見あげる方角が少し違うだけで、山の趣も変わる

 

熊本駅から阿蘇方面へ向かい、立野駅が近づいてくると阿蘇がより良く見えるようになってくる。ほぼ進行方向の正面に位置するためにやや見えにくいが、「あそぼーい!」の展望パノラマシートならばしっかりと見えることだろう。

 

立野駅から先、標高を上げた列車からはさらに阿蘇が近づいて見える。なだらかに見えた山容が、やや険しく見え始めてくる、そんな変る阿蘇の姿を楽しみたい。

 

さらに平坦な大地が広がる阿蘇カルデラ内を走り始めると、阿蘇の峰々は横に広がりを見せる。阿蘇五岳と呼ばれるように、阿蘇山は一つの山ではなく、峰々の集合体でもある。

 

さらに阿蘇カルデラを縁取るように取り囲む外輪山の山景色も楽しめる。そうした景色が刻々と変わって行く様子を楽しめるのが、やはり列車旅の楽しさだろう。

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