AV
2021/1/6 18:00

「8K有機EL」に「骨伝導」--2021年のAVトレンドをプロが徹底予測

ここ数年のオーディオビジュアル分野のトレンドは、「4Kテレビ」や「完全ワイヤレスイヤホン」などが占めていましたが、2021年は最先端の技術から生まれたアイテムが続々登場すると見られています。今回は2人の専門家が、2021年に注目を浴びそうなアイテムを紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します!

AV評論家

藤原陽祐さん

新聞記者、専門誌編集者を経てフリーに転身。わかりやすい解説と核心を突いた評論で本誌をはじめ多媒体で人気を博す。

ジャーナリスト

西田宗千佳さん

モバイル機器、PC、家電などが観測領域。各種媒体に寄稿し、テレビ番組の監修も手がける。

 

【その1】手の届く「8K有機ELテレビ」

これまで8K有機ELテレビは88V型と77V型しかなかった。2021年に65V型が登場し量産されれば、1インチ=1万円を実現する可能性が高い。

LGエレクトロニクス

OLED 88ZXPJA

実売価格346万5000円

8Kチューナーを内蔵した88V型の8K有機ELテレビ。AIにより、2Kや4Kの映像も8K水準の画質に補正する。残像の少ない1msの応答速度で、ゲーミング用途にも最適。リモコンなしで操作が可能なハンズフリー音声認識も便利だ。

 

【ネクストヒットの理由】

「70V型以上では、4K有機ELは8K液晶に押され気味。そこで期待されるのが、65V型8K有機ELモデルの投入です。パネルの供給能力が上がってコストが下がり、『1インチ1万円』を実現すれば、国内メーカーの参入も期待できます」(藤原さん)

 

【その2】店頭デモ用などで普及「3Dディスプレイ」

専用メガネやゴーグルなしで立体映像が見られる3Dディスプレイが登場。3Dモデルの試作確認だけでなく、店頭ディスプレイとしても活躍しそうだ。

ソニー

ELF-SR1

実売価格55万円

専用メガネやゴーグルを使わずに立体映像が見られるディスプレイ。前面に装備した視線認識センサーで瞳の位置を検出し、視点に合った映像を描く。コンテンツ制作を行えるソフトも無償で提供されている。

↑015.6インチの4Kパネル。45度で設置し、30〜75㎝離れて視聴する。合計5.5Wのスピーカーも3基装備

 

↑独自のアルゴリズムで、左右の目の位置に連動した映像をリアルタイムに生成。上下左右前後に顔を動かしても、それに追随した立体映像が描かれる

 

【ネクストヒットの理由】

「iPhoneも測距センサーを搭載し、立体データを簡単に作成できるようになりました。2021年は個人用にヒットというよりは、店頭デモや展示などの用途で見かける機会が増えるでしょう」(西田さん)

 

【その3】耳をふさがない「骨伝導デバイス」

骨伝導とは、音を鼓膜で聴くのではなく、頭蓋骨に密着させて振動を伝えることで聴く方式のこと。耳穴を塞がないので、周囲の音を遮断することがない。外出先ではアナウンスやアラートを聞き取りやすく、自宅で音楽を聴いている際も同居人の声や物音に気づきやすい。また、長時間装着しても疲れにくいというメリットもある。

 

弱点は、その構造上、音漏れが大きくなりがちなこと。とはいえ、自宅やスポーツ時の利用ならさほど問題にならず使いやすい。

 

Boco

PEACE TW-1

実売価格2万1780円

完全ワイヤレス型骨伝導イヤホン。耳を挟む構造で落ちにくく、音漏れも従来比で50%低減した。IPX7等級の防水性能を備え、外出時も使いやすい。クレードル併用で約12時間再生が可能。ハンズフリー通話機能にも対応する。

 

Cheero

TouchBone CHE-628

実売価格6570円

Bluetooth5.0に対応した耳掛け式骨伝導イヤホン。ハンズフリー通話はノイズキャンセリング機能も装備。側面の操作ボタンで、再生・曲送り・音量などを操作できる。1.5時間の充電で約5〜6時間の再生が可能。AACにも対応する。

 

↑あらゆる方向からの噴流水に耐えるIPX5等級の防水機能を装備。フィットネス中の汗や雨などを気にせずに使用できる

 

【ネクストヒットの理由】

「耳に負担のかからない骨伝導式は、これまではスポーツ向けの需要が中心でしたが、ビデオ会議などの長時間利用する用途にも適しています。弱点の音漏れも自宅なら気になりません」(西田さん)

 

【その4】家中好きな場所で楽しめる「ワイヤレススマートテレビ」

アンテナケーブルも電源ケーブルも接続不要で、放送も録画番組も動画ネット配信も視聴可能なテレビ。長引くおうち時間をより楽しくしてくれる。

パナソニック

プライベート・ビエラ UN-19FB10

実売価格4万3380円

チューナーとモニターが別体の19V型液晶テレビ。バッテリーを内蔵し、チューナー部をアンテナに接続すればワイヤレスで放送を視聴できる。レコーダーなどHDMI入力機器の利用や配信動画の視聴も可能だ。

↑スタンドを畳むと薄さ52.2㎜となり、わずかな隙間にも収納できる。収納時の奥行きは462㎜で、高さも346㎜とかなりコンパクトだ

 

↑アンテナ線やUSB HDDなどはチューナー部に接続する

 

【ネクストヒットの理由】

「ケーブル接続不要なテレビは、デザイン的にもこれまでのテレビの枠を超えた斬新な提案が可能になります。いっそチューナーを排した、VOD視聴専用テレビができれば面白いですね」(藤原さん)

 

【その5】話題のPS5やるなら「ゲーミングテレビ」

次世代ゲーム機PS5やXbox Series Xが対応している4K解像度での倍速(120Hz)駆動。それを生かすには、4K/120Hz対応のテレビが必要だ。

LGエレクトロニクス

55NANO91JNA

実売価格10万3150円

4K/120Hzに対応した55V型の液晶テレビ。ゲーム向けのHDRプロファイルに準拠し、ゲーム画面の白飛びや黒つぶれを防げる。ゲーム機からの入力信号を高速処理して遅延を低減するため、精密さが要求されるゲームも快適にプレイできる。

 

【ネクストヒットの理由】

「PS5やXbox SeriesXが対応している『4K/120Hz』をサポートしたテレビはまだほとんどありません。2021年は、これらの性能を最大限に生かせるテレビの需要が高まると予想されます」(西田さん)

 

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