近年、文房具市場で空前の盛り上がりを見せているのが「プレミアムシャープペンシル」だ。
そもそもシャープペンシル(以下、シャープ)=学生の勉強道具であり、高くても1000円以内に収まるのが一般的だった。しかし2010年代から中高生男子の中で「高機能な製図用シャープ」がブームとなり、それをきっかけとしてシャープの高価格化・高機能化が進み、現在は数千円クラスのモデルが飛ぶように売れている。
しかも、その波は中高生だけに留まらない。昨今のリスキリングブームを受け、資格取得や語学学習に励む大人たちが、その実用性と奥深さに改めて魅了され、シャープへと回帰しているのだ。
そんな中、まさに大人のプレミアムなシャープとして注目されているのが、ラコニック「Solid Write」である。
その名に表された“確かな手応え(Solid)で、書くこと(Write)に注力できる”シャープとは、一体どのようなものだろうか?

目次
引き算の美学で生まれたプレミアムシャープ
業界に衝撃を与えたラコニック初の筆記具
まず、ラコニックというメーカー名を聞いてピンと来る人は、かなりの文房具好きと言えるだろう。
同社は手帳/ダイアリーを中心とした文房具・雑貨メーカーで、クリップボード+手帳の「FIELD PAD」など、ユニークな仕掛けのある手帳を数々発売している。しかし、実はこれまで筆記具を手がけたことはない。つまり、非・筆記具メーカーなのだ。
それがいきなり高級なプレミアムシャープを出してきたことで、文房具業界はザワついた。
さらに、発売以降早くもいくつかの文房具アワード(弊誌主催の「文房具総選挙2026」を含む)を受賞したのだから、そのインパクトはなおさら大きい。

常識を覆すシンプルの極地
前提として、プレミアムシャープと呼ばれる高価格・高機能の製品群は、そのほとんどが製図用シャープと呼ばれるもの。つまり、エンジニアが設計製図を行うためのプロツールの一種だ。
ちなみに、“プレミアム”の明確な定義はないが、概ね「価格3000円以上」「高剛性の金属軸」「金属パイプのペン先」という条件を満たせばプレミアムシャープと呼ばれている。
もちろんSolid Writeもこの条件を満たしてはいるのだが、明らかに製図用シャープとは違う雰囲気なのだ。

一般的に製図用シャープはいかにもメカメカしい風情であり、高機能さをイメージさせる見た目をしている。語弊があるかもしれないが、中高生男子がグッとくるようなメカっぽさが身上と言える。

しかし、Solid Writeはその真逆で、メカっぽさ、ギミック感のあるような装飾は徹底的に排除されている。グリップまで直線で削り出したような金属軸に黒一色のゴム塗装、つなぎ目を感じさせない口金、クリップの代わりに六角柱の転がり止め、そして唯一ギミックとして存在する硬度表記付きノックノブ。
装飾と呼べるのは、軸に英字で小さくプリントされた「メーカー名と製品名、芯径0.5mm」という表記のみ。とにかくシンプルの極地だ。
安定感を生む細部のこだわり

機構としてユニークなのは、ノックノブに取り付けられたOリング。ノックを押し込む際のカチャカチャしたブレを防ぐと同時に、硬度表記窓を回すときのすべり止めにもなる。

ノックノブのブレといってもごく微細なものだが、ほかの製品と押し比べてみると安定感があり、「おっ、ノック感が高級だな」と感じさせられた。
安定した書き心地も、微妙に書き疲れが…
程よい低重心とズッシリ感の絶妙なバランス
さて、実際に握ってみると、見た目よりもかなりズッシリとした重みを感じる。
実測で約22gと、金属軸のシャープとしてはさほど重い部類ではないものの、装飾のないスッキリとした外見のイメージからすると相対的に重く感じる、ということだろう。
重心位置は先端から約72mm。全長が149mmと長めなので、トータルでほどよく低重心というぐらいか。

明確なグリップが存在しないため、この重心を基にしながら握り位置を決めると、だいたい上図のような位置になる。
この位置で握ると非常にバランスが良く、どっしりとした安定感を手の中に感じながら書けるだろう。 落ち着いてゆったりと書き進めるには、非常に心地の良いバランスだと思う。
快適なクリップレス設計と驚くほど滑らないゴム塗装
また、偏減りを予防するために手の中で回すのも、クリップレス=クリップが邪魔にならないのはありがたい。
グリップの代わりに軸全体に施されたゴム塗装は、塗膜が薄いわりにはきちんと摩擦が感じられる。なんなら、目の細かいローレットグリップよりも指が止まるぐらいだ。
見た目で「うーん、握るとツルツル滑りそうだな」と予想していただけに、これはうれしい誤算だった。

細軸・高剛性ゆえ? 長時間筆記時の疲労感
ただし、軸径が細い(約9mm)ことでどうしても強く握ってしまうのに加えて、金属軸の剛性の高さから、筆記時の衝撃がわりとダイレクトに指先に伝わる。その結果、指の疲労につながってしまうのだ。
試筆で30分ほど書き続けたときなどは、後から指にダルさを感じてしまったほどである。個人的な体感ではあるが、あまり長時間筆記には向かないかも、とは思った。

それでも、どっしりと落ち着いた感触には独特のインパクトがある。ほかのシャープではあまり味わえない書き味で、ハマった人は絶対に欲しくなるタイプなのだ。
残念ながら店頭で気軽に試筆できる製品ではないが、機会があればぜひ試してみてほしい。あと、そもそもやたらとカッコイイので、見た目で買うのもアリだと思う。