ぶっちゃけ長時間の筆記は疲れます──それでも大人がプレミアムシャープ「Solid Write」に熱狂する理由

ink_pen 2026/7/25
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ぶっちゃけ長時間の筆記は疲れます──それでも大人がプレミアムシャープ「Solid Write」に熱狂する理由
きだてたく
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1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

近年、文房具市場で空前の盛り上がりを見せているのが「プレミアムシャープペンシル」だ。

そもそもシャープペンシル(以下、シャープ)=学生の勉強道具であり、高くても1000円以内に収まるのが一般的だった。しかし2010年代から中高生男子の中で「高機能な製図用シャープ」がブームとなり、それをきっかけとしてシャープの高価格化・高機能化が進み、現在は数千円クラスのモデルが飛ぶように売れている。

しかも、その波は中高生だけに留まらない。昨今のリスキリングブームを受け、資格取得や語学学習に励む大人たちが、その実用性と奥深さに改めて魅了され、シャープへと回帰しているのだ。

そんな中、まさに大人のプレミアムなシャープとして注目されているのが、ラコニック「Solid Write」である。

その名に表された“確かな手応え(Solid)で、書くこと(Write)に注力できる”シャープとは、一体どのようなものだろうか?

引き算の美学で生まれたプレミアムシャープ

業界に衝撃を与えたラコニック初の筆記具

まず、ラコニックというメーカー名を聞いてピンと来る人は、かなりの文房具好きと言えるだろう。

同社は手帳/ダイアリーを中心とした文房具・雑貨メーカーで、クリップボード+手帳の「FIELD PAD」など、ユニークな仕掛けのある手帳を数々発売している。しかし、実はこれまで筆記具を手がけたことはない。つまり、非・筆記具メーカーなのだ。

それがいきなり高級なプレミアムシャープを出してきたことで、文房具業界はザワついた。

さらに、発売以降早くもいくつかの文房具アワード(弊誌主催の「文房具総選挙2026」を含む)を受賞したのだから、そのインパクトはなおさら大きい。

ラコニック

Solid Write

3960円(税込)

常識を覆すシンプルの極地

前提として、プレミアムシャープと呼ばれる高価格・高機能の製品群は、そのほとんどが製図用シャープと呼ばれるもの。つまり、エンジニアが設計製図を行うためのプロツールの一種だ。

ちなみに、“プレミアム”の明確な定義はないが、概ね「価格3000円以上」「高剛性の金属軸」「金属パイプのペン先」という条件を満たせばプレミアムシャープと呼ばれている。

もちろんSolid Writeもこの条件を満たしてはいるのだが、明らかに製図用シャープとは違う雰囲気なのだ。

↑高価格帯のシャープにありがちなメカっぽさを極限まで削ぎ落としたような、まさに“引き算のデザイン”。

一般的に製図用シャープはいかにもメカメカしい風情であり、高機能さをイメージさせる見た目をしている。語弊があるかもしれないが、中高生男子がグッとくるようなメカっぽさが身上と言える。

↑一般的な製図用シャープ(上)と比較すると、Solid Writeがどれだけシンプルに作られているかがよくわかる。

しかし、Solid Writeはその真逆で、メカっぽさ、ギミック感のあるような装飾は徹底的に排除されている。グリップまで直線で削り出したような金属軸に黒一色のゴム塗装、つなぎ目を感じさせない口金、クリップの代わりに六角柱の転がり止め、そして唯一ギミックとして存在する硬度表記付きノックノブ。

装飾と呼べるのは、軸に英字で小さくプリントされた「メーカー名と製品名、芯径0.5mm」という表記のみ。とにかくシンプルの極地だ。

安定感を生む細部のこだわり

↑クリップを廃した代わりに、机上から転がり落ちるのを防ぐ六角柱のリングパーツ。とはいえ、それなりには転がってしまうが。

機構としてユニークなのは、ノックノブに取り付けられたOリング。ノックを押し込む際のカチャカチャしたブレを防ぐと同時に、硬度表記窓を回すときのすべり止めにもなる。

↑ノックのブレを抑制するOリング。メーカー側の思想の強さを感じるパーツだ。

ノックノブのブレといってもごく微細なものだが、ほかの製品と押し比べてみると安定感があり、「おっ、ノック感が高級だな」と感じさせられた。

安定した書き心地も、微妙に書き疲れが…

程よい低重心とズッシリ感の絶妙なバランス

さて、実際に握ってみると、見た目よりもかなりズッシリとした重みを感じる。

実測で約22gと、金属軸のシャープとしてはさほど重い部類ではないものの、装飾のないスッキリとした外見のイメージからすると相対的に重く感じる、ということだろう。

重心位置は先端から約72mm。全長が149mmと長めなので、トータルでほどよく低重心というぐらいか。

↑重心バランスは、ある程度の重さを感じつつ落ち着いて先端を動かす、という味付けになっていると感じた。

明確なグリップが存在しないため、この重心を基にしながら握り位置を決めると、だいたい上図のような位置になる。

この位置で握ると非常にバランスが良く、どっしりとした安定感を手の中に感じながら書けるだろう。 落ち着いてゆったりと書き進めるには、非常に心地の良いバランスだと思う。

快適なクリップレス設計と驚くほど滑らないゴム塗装

また、偏減りを予防するために手の中で回すのも、クリップレス=クリップが邪魔にならないのはありがたい。

グリップの代わりに軸全体に施されたゴム塗装は、塗膜が薄いわりにはきちんと摩擦が感じられる。なんなら、目の細かいローレットグリップよりも指が止まるぐらいだ。

見た目で「うーん、握るとツルツル滑りそうだな」と予想していただけに、これはうれしい誤算だった。

↑口金と軸の間には段差もなく、基本的にはゴム塗装の摩擦だけを頼りにグリップする。

細軸・高剛性ゆえ? 長時間筆記時の疲労感

ただし、軸径が細い(約9mm)ことでどうしても強く握ってしまうのに加えて、金属軸の剛性の高さから、筆記時の衝撃がわりとダイレクトに指先に伝わる。その結果、指の疲労につながってしまうのだ。

試筆で30分ほど書き続けたときなどは、後から指にダルさを感じてしまったほどである。個人的な体感ではあるが、あまり長時間筆記には向かないかも、とは思った。

↑「正直、ある程度の好き嫌いは出るだろうな」という書き心地。できれば購入前の試筆をおすすめしたい。

それでも、どっしりと落ち着いた感触には独特のインパクトがある。ほかのシャープではあまり味わえない書き味で、ハマった人は絶対に欲しくなるタイプなのだ。

残念ながら店頭で気軽に試筆できる製品ではないが、機会があればぜひ試してみてほしい。あと、そもそもやたらとカッコイイので、見た目で買うのもアリだと思う。


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