グルメ
2020/10/26 19:00

米と食材を投入するだけ! 炊飯器だけでできる究極のズボラ飯「同時メシ」とは?

今年も新米が収穫され、お米が美味しい季節がやってきました。コロナ禍で“おうちごはん”が増え、お米を食べる機会が増えたのではないでしょうか? でも毎日作るのは大変……、もっと手軽に準備から片付けまで終わらせたい! という人に知って欲しいのが、話題の「同時メシ」。SNSでは「#同時メシ」での投稿も多く、TVや雑誌などさまざまなメディアでも取り上げられています。

 

SNSをのぞいてみると、ステーキ用の生肉をお米と一緒に炊飯したり、うなぎやカツなどすでに調理済みの惣菜を一緒に入れたりするなど、同時メシの大胆さにも驚きます。「炊飯器に入れるだけだから簡単」「レシピが豊富だから迷わない」「火を使わないから子供と一緒に作れる」などメリットも多く、どの投稿にも「おいしい」とのコメントが。

 

今回は、GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」でおなじみのブックセラピスト・元木忍さんが、『同時メシ』の著者である澁谷梨絵さんと人気の「シンガポールライス」を作りながら、レシピ考案の背景と、“5ツ星お米マイスター”としての仕事についてなど、話を聞きました。

 


『同時メシ』
澁谷梨絵 / 宝島社
すべての材料を炊飯器に入れてスイッチを押すだけで、ごはんもおかずも同時に作れる最強の時短レシピ“同時メシ”。簡単でかつ、おいしいレシピが45種類も掲載されており、初心者でも材料を買って、炊飯器にお米と一緒に炊くだけで出来てしまうお手軽さが人気。

 

手抜きだなんて言わせない! 大胆でおいしい「同時メシ」

元木忍さん(以下、元木):『同時メシ』を初めて読んだ時、とにかくインパクトがすごかったんですが、同時メシ考案のきっかけを教えてください。

 

澁谷梨絵さん(以下、澁谷):きっかけは、テレビの企画でした。“米屋の娘”として育ったので、昔から「お米とおかずを一緒に炊く」っていう調理法はやっていたんですよ。

 

元木:ようするに、同時メシは以前からすでにやっていたということなんですね!?

 

澁谷:“米屋あるある”でしょうか。当たり前のように炊飯器で調理していました。正式にテレビの企画が通ってレシピを考えているうちに、あれもこれもってどんどんアイデアが浮かんできて、『同時メシ』の書籍化にも結びつきました。米屋なので、お米の消費量を回復させたいという気持ちも強く、どうやったらもっとお米を食べてくれるのか、と考えるようにもなったんですね。毎日手軽に、おかずもごはんも炊飯器ひとつでできれば、もっとお米を食べてもらえるし、お子さんとも一緒に手軽に楽しんでもらえるかな? と。

 

↑同時メシ考案者で、レシピブック『同時メシ』の著者、澁谷梨絵さん

 

元木:本を出版してみて、どんな反応がありましたか?

 

澁谷:うれしい反響をたくさんいただいているんです! ごはんにおかずの味が染み込んでおいしいとか、子どもが前より食べてくれるようになったとか、主婦の声を代弁してくれて感謝しているなど、実際に作ってくださった方からの反響が多いですね。そういえば先日、テレビを見たという学校関係者の方から「自由研究で同時メシを作りました」という素敵なお手紙をいただいたんですよ。

 

↑封書で届いたので、澁谷さんは「もしかしてお叱りの手紙かな?」とドキドキしていたそうですが、中を開けてみたら自由研究の一環で『同時メシ』を作ったというレポートが綴られていたそう

 

元木:あら、素敵! とっても細かく表現されていて、感動しちゃいますね。

 

澁谷:そうなんですよ。学校で子どもたちに同時メシを作って、模造紙いっぱいに感想を書いてくれた、というのが本当にうれしくて。同時メシの輪が広がっていく感じがしますよね! ほかにも「レシピをアレンジしてみました」って感想をいただいたりしますが、大歓迎です。どんどん作って欲しいと思います。チャチャっと作ってもほとんど失敗はないですし、どの同時メシも“ズボラ飯”の代表! ってくらい手抜きなんですけど、食べる時に「手抜きしたな」ってわからないのがいいんですよね(笑)

 

元木:レシピをアレンジしてもいいって、自由度も高くていいですね。ちなみに、混ぜごはんと同時メシって何が違うのでしょうか?

 

澁谷:“おかずになるかどうか”の違いでしょうか。「おかず」と「ごはん」を同時に作れるというのが、同時メシです。

 

鶏肉を入れてスイッチオンするだけの「シンガポールライス」

元木:では実際に、同時メシを作ってみましょうか!

 

澁谷:本当に簡単ですよ(笑)。準備は3分で終わります。

 

↑準備するのは、鶏もも肉200g、塩・こしょう適量、米2合、水360ml、にんにく・しょうがチューブ各小さじ1」だけ

 

↑鶏肉の両面に、塩・こしょうで下味をつけます

 

↑「米2合」と「水360ml」を入れた炊飯器の内釜に、チューブのにんにくとしょうがを小さじ1ずつ、混ぜ込みます

 

↑下味をつけた鶏肉を炊飯器の中に入れて、炊飯ボタンを押せばあとは炊き上がりを待つばかり

 

元木:“調理”は、これだけですか?(笑)

 

澁谷:そうなんです(笑)。あとは炊き上がりを待つだけです!

 

元木:簡単! 炊き上がりが楽しみですね。『同時メシ』には45種類のレシピが掲載されていますが、これ以外にも日々レシピは作られているのでしょうか?

 

澁谷:レシピは無限にありますよ! 冷蔵庫に何かおかずがあれば、すぐに作れちゃいます。季節の野菜があればその野菜を使った同時メシが作れるし、本にも載っていますが「餃子メシ」のように冷凍食品を活用した同時メシもOKですから。

↑お米の上にレタスを敷いて、冷凍餃子をそのまま入れるだけの「餃子メシ」。/『同時メシ』(宝島社)より

 

元木:近年は値段が高騰していますが、「サンマメシ」なんて生魚を使うものも紹介されていますよね。サンマを焼くと煙も出るし、あとの片付けが大変なんですよね……。

 

澁谷:元々、炊き込みごはんにサンマを入れて炊飯していたので、躊躇なく入れちゃいましたね(笑)。生で入れても生臭さが残ることはなくて、蒸し上げるので身がふっくらとほぐれて食べやすく、おいしいですよ!

↑切ったサンマを、きのこと一緒に入れて炊き上げる「サンマメシ」。/『同時メシ』(宝島社)より

 

元木:秋の味覚を簡単にできるのが、さらにいいですね〜! あと一番驚いたのは「ステーキメシ」ですよ。大きな生肉をそのまま入れてしまうなんて!(笑)

 

澁谷:この「ステーキメシ」を作る前に、「生姜焼きメシ」を作っていたので、炊飯器でお肉を炊くとふっくらジューシーな仕上がりになることは知っていました。生姜焼きができるならと、どこまでいけるかちょっとずつお肉の大きさを大きくしていきながら(笑)、エイ! と大きなステーキ肉を入れたら、大成功でした。

↑炊飯器と同じくらいの大きさの大きなステーキ肉が入った「ステーキメシ」。/『同時メシ』(宝島社)より

 

元木:澁谷さんらしい発想が素敵です。失敗を恐れず突き進んだら、おいしい“同時メシ”の出来上がり! だなんて、料理がとても楽しくなりますね。

 

澁谷:ありがとうございます(笑)。個人的には「かつメシ」も好きです。見た目はカツ丼みたいですけど、カツを揚げるところから作るなんて面倒じゃないですか? だから買ってきたカツでOKなんです。これならごはんが炊けるのと同時に食べられるし、カツが煮えすぎてふにゃふにゃにもならず、ふっくらとした味わいを楽しめます。

↑市販されているカツと玉ねぎを調味料と一緒に炊き、最後に卵を回し入れる「かつメシ」。/『同時メシ』(宝島社)より

 

元木:揚げてあるカツを入れちゃうんですか!? 炊飯器が脂っぽくなって片付けが大変になりませんか?

 

澁谷:後片付けも意外と楽ちんなんですよ、使うのは炊飯器だけなので。騙されたと思ってやってもらいたいです。本当においしいし、簡単ですから。

 

元木:また、さらに驚くメニューが、スイーツでした。おはぎを作るのはレベル高いので、なかなか作ったことはなかったのですが、このレシピはとても簡単なので、お子さんと一緒に作るのもいいですよね。

↑炊飯器で手軽に作れてしまう「おはぎ」。/『同時メシ』(宝島社)より

 

澁谷:そうですね。炊飯器は火を使わないので、お子さんはもちろん、単身世帯のお年寄りとか働き世代のご夫婦とか、どんな世代の方にもこの手軽さは喜んでもらえると思います。気になったものから、一度やってみて欲しいです。

 

同時メシの斬新さ、大胆さには目を見張るばかりですが、澁谷さんは5ツ星お米マイスターとして、また米店店主としても精力的に活動。その背景には、とある人との出会いがありました。

 

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