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2021/3/23 18:30

【引っ越しトラブルを回避するためのQ&A】家具や新居に傷がついたら?近隣への挨拶や”心付け”は必要?など10項目

いよいよ引っ越しのハイシーズンに突入しました。多くの人にとって、引っ越しとは滅多にないイベントで、慣れない作業に戸惑うこともあるでしょう。引っ越しでのトラブルを回避し、作業を円滑に効率よく進めるためにはどうしたらいいでしょうか?

 

荷造りを効率的に進めるコツは? 前後にしておくべき手続きとは? 引っ越しは午前・午後どっちがお得? 引っ越し会社に心付けは必要? などの疑問を、大手引っ越し会社、アート引越センター・広報宣伝部の永野睦実さんに回答していただきました。

 

Q1.いよいよダンボールがやってきた!箱詰めを効率的に進める方法は?

 

A1. 不用品の処分が最優先! 箱詰めは“オフシーズンのもの”から

引っ越しの1〜2か月前には引っ越し会社への見積もりと依頼を済ませ、ダンボールは引っ越し予定日の3〜4週間くらい前に届くよう手配するのがベストなタイミング、と話す永野さん。とはいえ、部屋の中に荷造りをしたダンボールを積み上げておくスペースを確保するのも大変ですよね。

 

「箱詰めしたダンボールを置く場所をつくるためにも、新居で必要なもの、不要なものの仕分けを行うことは大切です。荷造りをしながら、不要なものを処分していきましょう。粗大ゴミは自治体の回収までに数週間かかる場合もあるので、引越しの1か月前くらいまでに手配を始めてください。そのほか、リサイクル可能なものはリサイクルショップへ持っていったり、『メルカリ』などのフリマアプリを活用したりして換金するのもいいでしょう」(アート引越しセンター 広報宣伝部 永野睦実さん、以下同)

 

オフシーズンのものや、転居日まで使わないものから順に箱詰めへ。

 

「荷造り時に起こりがちなのが、ダンボールで生活動線がふさがってしまうことです。部屋の奥からダンボールを積み重ねていくようにしましょう。転居先で本当に使うのかどうかをチェックしながら箱詰めをし、転居先での荷解き時も同様のチェックができれば、合計2回、物の見直しができるので、引っ越し作業を通してお部屋のデトックスがずいぶんと進むと思います」

 

Q2.荷解きは想像以上に大変!箱詰め時にできる対策はある?

 

A2. 新居の収納先に合わせてナンバリングを! 中身をダンボールの側面にも書くのを忘れずに

アート引越センターでは、梱包用のガムテープに3種のカラーを用意しています。普通の荷物は白、すぐに使うものは黄、割れ物は赤のテープで箱を閉じることで、荷解きがずいぶんとラクになるそう。

 

「荷解き作業を意識して荷造りできるかどうかは、作業効率に大きく影響します。そこでオススメなのが、荷造りを始める前に、新居の間取り図を用意し、部屋や収納場所のナンバリングをすること。そして、どこになにを配置するのかをあらかじめ決めながら、その番号に合わせた箱詰めをします。

このとき、番号と中身のメモを箱の上部だけでなく側面にも書いておくと、箱を積み上げた際にも内容物が一目でわかります。新居についたら搬入前に玄関先や部屋の中心にこのナンバリングが入った間取り図を貼っておき、引っ越しスタッフに番号の部屋に搬入してほしいと指示すればOK。使う場所に荷物をまとめて置くので、お客様の荷解き時にも重たい箱の移動が減らせます。また、新居の収納に入りきる物量かどうかをイメージしながら箱詰めができるので、不用品の処分にもつながります。

ちなみに、荷造りの際、新居のカギや返却しないといけない旧居のカギ、賃貸物件に備え付けられていたリモコンや資料などをうっかり箱詰めしてしまうというケースもありますので、注意が必要です」

 

【関連記事】引っ越しを効率よく行うための、手続きから荷造りまでの5ステップ

 

Q3.作業が立て込んで忘れそう!引越し前後にすべき手続きとは?

 

A3. 漠然とした不安を抱えないために「引越チェックリスト」でタスクを整理

転出届、郵便物の転送依頼に免許証の住所変更など、荷造り以外にもやるべきことはたくさんあります。引っ越し会社のホームページや見積もり時にもらえるパンフレットには、「引越チェックリスト」が用意されていることが多いので、それらを使えばとても便利。

 

「全体のタスクと時期が把握できる1枚のチェック表があれば、やるべきことが明確になります。ライフラインの手続きや精算をうっかり忘れてしまうと、新居でガスなどのライフラインが使えないというトラブルが起きてしまうので、ひとつずつチェックしていきましょう。

特にガスの開栓には立会いが必要な場合がほとんどですので、忘れずに手配してください。また、引越しを終えた安心感で油断してしまうと、住民票の移動を忘れる可能性も! 引越し後14日以内に届ける必要があります。引越し後のタスクについても、引越しチェックリストをチェックしながら進めていきましょう。

引越し前後はやることが多岐に渡る上に、ダンボールが積み上げられた環境にストレスを感じやすくなります。やり終えたことをチェックすることで、“準備が順調に進んでいる”という安心感が得られ、頭の中の整理にもなるので、引越しチェックリストはぜひ活用してください」

 

【関連記事】住み替えで得をする!賃貸物件を上手に借りる6つの方法

 

Q4.時間帯はどう選ぶ?午前と午後のメリット・デメリット

 

A4. 繁忙期や家財の量によっては選べない可能性も。選べるときはライフスタイルに合わせて

引越しの開始時間は午前、午後、夕方などいろいろありますが、どの時間帯がいいのでしょうか?

 

「朝一番の便の場合は、時間通りに引越スタッフが到着するので、待ち時間がないというメリットがあります。ひとり暮らしや荷物の少ないご家庭、近隣への引っ越しであれば、午後からは荷解きが進められる可能性も高く、1日を有効に使えます。デメリットは朝が早いので、前日までに荷造りが完了していないと徹夜作業になる可能性もあります。朝が弱い方には早起きのプレッシャーもかかりますね。一方、午後の便は準備にゆとりが生まれます。しかし、他のお客様のお引越終了後にお伺いするため、時間が読みにくく、引っ越しの忙しい時期は遅れてしまう可能性もあります。搬入する頃には日が暮れてしまい、当日の片付けができなくなるかもしれません。

どちらもメリットやデメリットはありますので、見積もり時に開始時間による金額の違いなども聞いてみましょう。ご家財の量やご新居までの距離、立地条件によっては、限られた時間でしかご案内できない場合がありますので、まずは営業担当者にご相談ください。また、繁忙期は希望する時間での作業が空いていない可能性も高いので、日時を優先したい場合は複数の引越し業者に問い合わせてみるのもいいかもしれません」

 

Q5.どれくらい時間がかかる?引っ越し当日の流れが知りたい

 

A5. 所要時間や作業の流れはケースによるため、引っ越しスタッフに確認を

家財の量だけではなく、住んでいる階層や周囲の道路状況などでも搬出や搬入時間が大きく変わるため、引っ越しにかかる時間には差が大きく出るようです。

 

「所要時間は個人差がありますが、作業の流れは基本的に同じです。まずは、ダンボール類から搬出し、次に大型家具類を運び出します。搬出時に注意が必要なのは、備え付けの家具などの備品を持ち出していないかということです。特に賃貸物件の場合は、エアコンや照明、物干し竿、リモコンなどが備え付けの場合もありますので、搬出時にスタッフが運び出さないように、あらかじめ『運び出しNG』などの目印を付けておくといいでしょう。

マンションなどの共有部に置いている自転車の積み忘れにも注意が必要です。貴重品などのお客様がお手持ちで持っていく予定の荷物は準備段階からまとめておくようにし、引っ越しスタッフにお手持ちで運ぶことをお伝えください。

新居での搬入は、大型家具から順に運び入れ、続いてダンボール類という流れになります。箱詰め時にメモした新居の間取り図のナンバリングがわかる紙を引越しスタッフの見やすい場所に貼り付けておくと荷物の搬入場所をいちいち指示しなくてもスムーズに作業が進みます。

料金の精算のタイミングは引っ越し業者によって異なるので、事前に確認しておきましょう」

 

Q6.引越し作業中のトラブル新居や家具の傷はどうすればいい?

 

A6. 引越し業者や大家さんへ早めの報告を!

引越し作業時は、十分に注意して作業を行っていても新居や家具に傷をつけてしまう可能性があります。自分で傷つけてしまったのか、引っ越し業者が傷つけてしまったのかで対処法が異なるので、まずは状況を整理し、必要な場所にすみやかに報告を入れるようにしましょう。

 

「当社では、すでについてしまっている傷や破損個所につきましては、梱包を行う際にお客様と一緒に確認させていただいております。それ以外の引っ越し時の破損や紛失、故障などのトラブルについては、当社の場合は自社で直接的な損害を賠償させていただいております。その際は、標準引越運送約款に基づいて対応させていただくこととなり、ご家財を引き渡してから3か月以内にご連絡いただいた内容について対応させていただいております。引っ越し会社によって万が一の場合の対応は異なりますので、すみやかに相談するようにしましょう。

また、ご自身の不注意で新居に傷をつけてしまった際には、大家さんや管理会社などに連絡をしてください。賃貸物件では入居前から床や柱、壁などに傷がある場合もあります。その際には傷部分を撮影しておき、入居時の資料と一緒に保管しておくようにしましょう」

 

Q7.荷解きのリミットはある?引越し後の業者への連絡について

↑食器梱包時に出る紙ゴミやダンボールなどが減らせる「エコ楽ボックス/食器ケース」。アート引越しセンターでは、食器以外にも洋服やシューズ、照明、テレビ用のケースも扱っている

 

A7. 特に期限はなし。早めに作業を終えた方がベター

引っ越し時に利用したダンボールは、荷解きを終えたタイミングで業者に連絡すると、引き取りに来てくれます。食器類の破損などのトラブルがあった場合は早めの対処が必要なので、引っ越し後1か月以内には荷解きを終えて、業者にダンボール回収などの報告を入れるのが好ましいようです。

 

「荷解きは引越し後1週間以内を目標に早めに済ませて、資材の回収希望日を連絡いただくのがいいでしょう。ダンボール以外の緩衝材などのゴミに関しては、市区町村のルールに則り、ご自身で廃棄いただくようお願いします。

また、アート引越センターでは、紙資材を使用せずに食器を梱包できる『エコ楽ボックス食器ケース』を無料でお貸出ししております。引越後のゴミも出ず、とっても楽に荷造り・荷解きが可能ですので、ぜひご利用ください。なお、無料レンタル資材につきましては、基本的にご家財搬入当日の回収にご協力いただいておりますので、ご了承ください。

細心の注意をしつつ荷物をお運びしますが、食器類などの破損や故障などのトラブルがあった際には、早めに引越し会社への連絡をするようにしましょう」

 

Q8.引っ越し時に出たゴミをすぐに引き取ってもらうことはできるの?

 

A8. 引越し会社によって対応可能な範囲が変わるので事前に確認を

荷造り時までに不用品の処分を終えていたつもりでも、引っ越し時には生ゴミから梱包資材や使い終わったガムテープ、処分をし忘れていた家具などが出てきます。これらは引越し会社で引き取ってもらえるのでしょうか?

 

「当社では処分品や不用品の引き取りはできかねますので、自治体のごみ回収や廃品回収業者などに連絡をし、引き取り手配をされることをオススメします。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、乾燥機の5つにつきましては家電リサイクル法対象の製品のため、当社でも有料でリサイクル回収が可能です。お見積もりの際に営業担当へご相談ください。引越し会社により、不用品の回収条件が異なりますので、依頼した引越し会社の対応内容を確認しておきましょう」

 

Q9.範囲やタイミング、手みやげは?近所へのご挨拶について

 

A9. 両隣の方へ、当日から数日以内に行うのが望ましい

引越し当日は朝早くから引越し業者が荷物を運び出したり、エレベーターを何度も使用したりと、自宅周囲が騒がしくなるため、ご近所にはあらかじめ断りを入れておくようにしましょう。

 

「当社の場合ですと、転出と転入のどちらのお住まいでも、引越し作業を開始する前にオリジナルのティッシュボックスを持って、ご挨拶に回ります。お客様のご都合がよろしければそのタイミングで一緒に近所の方にご挨拶をすることもできます。日頃から近所の方との交流がある場合は、引越しの数日前に日持ちのする焼き菓子やタオル、お茶など、500〜1000円くらいの手みやげを用意して、ご挨拶されるのがオススメです。

ただし、コロナ禍の今は対面を避けた方がいい場合もありますので、その際には、『コロナ禍なので、こちらで失礼します』とお断りを入れた上で、玄関先のインターフォン越しやポストへのお手紙投函などによってご挨拶されるといいでしょう。また、ご新居でのご挨拶の際、小さなお子さまがいる、ペットを飼っている場合は、上下階の方にも音の配慮が必要になるので、両隣だけではなく、上下階の方にもご挨拶をしておくと安心です。お住まいが戸建ての場合は、昔から“向こう三軒両隣”と言われていますので、こちらを目安にご挨拶されるのがいいでしょう」

 

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Q10.何も用意しないのは失礼になる?引越しスタッフへの心付けの有無

 

A10. 必要なし! 飲み物やお菓子の差し入れはありがたくいただきます

かつての日本では、引っ越し作業を近隣の方に手伝ってもらっていたこともあり、引っ越しスタッフに心付けを渡すという当時の名残がありますが、現在は用意する必要はないようです。

 

「作業スタッフに対してお心付けをご準備いただく必要はございません。そのお気持ちだけで十分でございます」。しかし、ペットボトル飲料や缶ジュース、お菓子類などを準備したものをまったく受け取ってもらえないわけではないようなので、状況に応じて対応しましょう。

 

新しい生活を軽やかにスタートするためにも、引越し時のポイントをおさえておきたいですね。

 

【プロフィール】

アートコーポレーション株式会社

1976年、日本で初めての引越専業会社として創業。「アート引越センター」として親しまれる。女性スタッフによる引越しサービスの「レディースパック」や環境に配慮し、紙資材の使用を削減する「エコ楽ボックス」、次世代オンライン見積「ミライ」など、さまざまなサービスを取り入れ、大手引越会社としての地位を確立している。

https://www.the0123.com/company/

 

提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」