2027年末、一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入が国際的に禁止される。背景にあるのは、水銀による環境負荷を減らすためのグローバルな規制強化だ。
とはいえ、すでにLED照明への置き換えが進んでいる印象をお持ちの方もいるかもしれない。だが実は、その普及が比較的進んでいるオフィスや店舗、施設といった非住宅分野でも、およそ30%、数にして全国で約2.26億台もの照明がLED化されていないのが現実だ。
「蛍光灯が使えなくなるにしても、光源だけLEDに置き換えればいい」と思うかもしれない。しかし実際には、既存の照明器具によってはそのままLED光源へ置き換えられないケースや、安全面から器具ごとの交換が必要になるケースも多い。つまり、蛍光灯の生産終了は「照明設備そのものの改修需要」を生み出すというわけだ。
一方、そうした改修工事を担う電気工事業界では人手不足が深刻化している。今後、膨大な改修需要が見込まれるなかで、現場の負担をいかに減らすかは大きな課題だ。そうした背景を踏まえ、パナソニック エレクトリックワークス株式会社(以下、パナソニック)が投入するのが、省施工性を重視した新しいリニューアル向けダウンライトである。
需要は増えるのに、工事する人が足りない
パナソニックによると、電気工事業界では需要の増加と人材不足が同時に進んでいるという。電設工業会の調査では、電気工事完工高は2022年の4.8兆円から2030年には5.6兆円へ拡大する見込みである一方、電気工事従事者は同じ期間で17.7万人から16.1万人へ減少すると予測されている。必要な工事は増えるのに、それを担える人材は減っていくという状況だ。
しかも、照明改修は単純な交換作業ではない。たとえばダウンライトの更新では、既存器具の埋込穴のサイズ確認が必要になるが、現場によっては高所に設置されていて測定しにくいこともある。限られた調査時間のなかで確認を進めなければならず、サイズの見極めを誤れば、新品の再手配や工期の遅れにもつながりかねない。
ほかにも、既存器具を取り外す際に天井ボードを傷つけてしまい、補修が必要になるケースもあるという。また、LED化にあたっては「とりあえず交換すればいい」というものではなく、明るさや配光も考慮しながら適切な後継機種を選ぶ必要がある。
こうした細かな確認や調整の積み重ねが、現場の負担を大きくしている。さらに2024年4月以降には、電気工事業にも時間外労働の上限規制が導入され、人手不足がより深刻化している。
1台で3つの穴径に対応。調査も施工も楽にする新ダウンライト
こうした課題に対する解決策としてパナソニックが発表したのが、「埋込穴径調整機能付き リニューアルダウンライト」だ。
最大の特徴は、1台の器具で複数の埋込穴径に対応できること。従来は既存のダウンライトのサイズに合わせて適切な製品をひとつひとつ選定する必要があったが、新製品ではその手間を大きく減らせる。
ラインアップは2タイプ。Mタイプは直径100mm、125mm、150mmに対応し、Lタイプは150mm、175mm、200mmに対応する。いずれも金具が可動し、回転機構によって径を調整する仕組みだ。Mタイプは器具の一部を引き出すようにしてサイズを変更し、Lタイプは回転機構によって径を調整する。パナソニックによれば、この「1台で3サイズ対応」という仕組みは業界唯一だという。

この機構が意味を持つのは、現場の不確実性を減らせる点だ。現場調査で埋込穴のサイズを正確に把握できなくても、あるいは間違えてしまっても対応しやすく、選定ミスのリスクを減らせる。複数サイズの器具を持ち込む必要もなくなり、施工現場での取り回しもシンプルになる。

もうひとつの特徴が、リニューアルプレートを不要にした幅広枠設計だ。既存のダウンライトを交換する際、器具を外した跡を隠すためにリニューアルプレートを追加設置するケースは珍しくない。しかしプレートは照明器具本体とは別部品であり、そのぶん工数が増えてしまう。

新製品は幅広の枠を設けることで、照明器具とリニューアルプレートを事実上一体化。既存器具の跡をカバーできるため、こうした追加部材を使わず施工できる。地味な要素に見えるかもしれないが、こうした細かな配慮こそ、パナソニックの照明器具が好評を博す理由といえる。

交換後の「明るすぎた」「暗すぎた」も防げる
新製品の一部は、無線調光機能「ウィズリモ2」に対応している。設置後に、明るさを調整できるというわけだ。
LED照明への更新では、現場調査の段階で光源の仕様を完全に把握できず、「とりあえず近いものを選ぶ」ような判断がなされることもある。その結果、交換後に「思ったより明るすぎた」「逆に暗かった」といった問題が起きやすいのだ。
今回のリニューアルダウンライトには、無線調光に対応した機種をラインナップ。1台ごと、あるいは複数台まとめてでも、設置後に明るさを変更できる。

現場で100%正確な選定ができなくても、あとから調整できる余地を持たせているわけだ。パナソニックによれば、この設置後の明るさ調整に対応したダウンライトも同社独自のものだという。
施工しやすさだけでなく、交換後の失敗を減らす設計になっている点も、この製品の面白いところだ。単に「更新しやすい器具」というだけでなく、現場で起きがちな不確実性そのものを吸収しようとしている。
他人事ではない、蛍光灯の生産終了
本製品は、照明業界に占めるパナソニックのシェアが大きいことも手伝って、ダウンライトのLED化に寄与すると思われる。一方で、LED化が進んでいない”本丸”は住宅照明である。なんとその非LED化率は、55.6%にもおよぶという推計が出ているのだ。蛍光灯の生産終了は、私たち一般生活者にとっても他人事ではない話である。
照明器具そのものの交換が必要になる場合、非LED光源の寿命が切れてからの交換では、一時明かりが失われてしまうおそれもある。「蛍光灯が使えなくなる前に備えておく」という視点は、家庭でも持っておきたいところだ。