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2019/10/17 6:00

カーナビはこれからも生き残れるのか? 「カロッツェリア」が60組を招待した初の試みにひとつのヒントが。

10月14日、カロッツェリアオーナーを招待したサーキット走行会「カロッツェリア ドライビング エクスペリエンス」が富士スピードウェイで開催されました。約1200名の応募から選ばれた52組が参加。会場はあいにくの雨&濃霧でしたが、マイカーで富士スピードウェイをサーキット走行できたほか、レーシングドライバー・小林可夢偉選手のレクチャー&トークショー&同乗走行や、先日発表されたカロッツェリア新製品のタッチアンドトライが実施され、盛況のうちに幕を閉じました。

本イベント、パイオニアが数年前から重要視している、「モノ体験」だけでなく「コト体験」をユーザーに提供すべく開催されたもの。サーキット場を貸し切っての大型イベントはカロッツェリアとしても初の試みで、カーナビメーカーとしての新しい可能性を感じることができました。本稿ではその可能性について記していきます。

 

意外かもしれませんが、車載カーナビ市場自体は好調です。2018年は前年比5.5%増の614万4000台(JEITA/2018年民生用電子機器国内出荷統計より)を出荷。スマホ地図で十分という声もありますが、頻繁にクルマに乗る人にとってはまだまだ車載ナビは必要な装備と言えるでしょう。一方で、カーナビはコモディティ化が著しいジャンルでもあります。各社ともナビゲーション+αの付加価値を毎年競い合っており、「大画面化」「車種専用モデル」といったトレンドも生まれていますが、根本的な差別化が難しくなってきている状況は変わりません。

 

となると、必要になってくるのは、製品を買ってもらうだけの「モノ視点」ではなく、ストーリーに乗せてブランドを体感してもらう「コト視点」。連休中の富士スピードウェイを貸し切って52組のためだけに走行会を行ったのも、「長期のコミュニケーションをユーザーと取っていきたい」(担当者談)という意図があります。

↑イベントで可夢偉選手のドライビングレクチャーを真剣に聞く参加者たち

 

実際、カロッツェリアは通常のクルマイベントのほかに、アウトドアキャンプイベント「GO OUT CAMP」にブース出店していたり、自社のオウンドメディア「カーライフに、スパイスを。」では家族視点のコンテンツを発信していたりと、「モノだけでなくコト」を意識した方向性を重視しています。その注力度合いは競合メーカーよりも一歩進んでいるといえるでしょう。

↑パイオニアの自社メディア

 

11月に発売される新型サイバーナビは、ドコモの車載用通信サービス「docomo in Car Connect」に対応した「オンデマンドカーナビ」であり、車内をWi-Fiスポットとして利用できるようになります。さらに、同モデルはウェブブラウザ機能を用いてYouTube動画を簡単に再生できる「ストリーミングビデオ」や、家庭用BDの映像・録画コンテンツを遠隔再生できる「レコーダーアクセス」にも対応しており、エンタメ消費の概念を変えそうなアイテム。

↑カーナビ自体が通信機能を持つから、スマホをWi-Fi接続できるようになり、クルマとカーナビの使い方が広がる

アウトドア/キャンプ/車中泊で使ったり、クルマをワークスペースとして利用できたりするなど、様々な体験が考えられそうで、今後、全国のカロッツェリアユーザーに対して、様々な「コト的アプローチ」が期待できそうです。

 

そういった意味で、今回のイベント、今後のカロッツェリアを占う意味では重要なイベントでした。カロッツェリアナビが目的地への案内だけでなく、ライフスタイルのガイドを兼ねることでユーザーの信頼性を獲得することができれば、今後訪れるであろうより厳しい市場環境でも生き残っていけるでしょう

 

写真提供:パイオニア