ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、懐かしの名車のオマージュ、フォルクスワーゲンのEV専用ミニバンを取り上げる。


フォルクスワーゲン
ID.バズ
888万9000円〜997万9000円
SPEC【Pro】●全長×全幅×全高:4715×1985×1925mm●車両重量:2560kg●パワーユニット:電気モーター●最高出力:210kW/3581〜6500rpm●最大トルク:560Nm/0〜3581rpm●WLTCモード一充電走行可能距離:524km
【これぞ感動の細部だ!】後席ウィンドウ

外から見ると小さいが中から見ると大きい?
外側から後席のサイドウィンドウを見ると、黒いウィンドウエリアの内部に四角く区切られたスペースがあることに気づきます。実はここが開口部で、ここだけしか開きません。しかし車内側から見ると、スライド式で前方が開くようになっていて、意外にも大きく広く感じられます。不思議ですね。
【GOD PARTS 01】元祖ワーゲンバス

味わいはそのままに
ずんぐりした体型やウィンドウ面積の大きさ、ツートンカラーの採用など、この元祖ワーゲンバス(タイプ2)とID.バズは趣が似ています。しかし、現代の安全基準や機能などを盛り込んだことで、中身はまったく異なる、ハイテクEVが誕生しました。
【GOD PARTS 02】カメラ

なぜか意外なところに
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は現代のクルマの必需品。そのカメラはたいていウィンドウ上部に付けられていますが、ID.バズでは下部にあって、このあたりもキャラを引き立たせています。
【GOD PARTS 03】ヘッドライト

丸目はあえて継承せず
つぶらな瞳(丸型ライト)は元祖ワーゲンバスの個性であり、アイデンティティでしたが、現代のワーゲンバスでは継承されませんでした。切れ長の目はとても現代的であり、最新モデルの象徴となっています。
【GOD PARTS 04】フロントグリル

格子柄でデザイン強調
モーターはエンジンのような吸気を必要としないため、フロントグリルレスモデルが多いのですが、ID.バズには付いています。エアコン用だと思いますが、斜め格子柄はデザイン上のアクセントになっていますね。
【GOD PARTS 05】エンブレム

ここはしっかり継承
正面から見ると、エンブレムの巨大さに驚かされます。これは元祖ワーゲンバスからの継承ですが、元祖モデルではさらに大きく、ここにスペアタイヤを装着しているモデルもありました。ノスタルジーを感じさせますね。
【GOD PARTS 06】2列目シート

需要に合わせて選べる
車内にはシートをしっかり3列装備。2列目シートは左右が分かれたキャプテンシートタイプと、左右が繋がったベンチシートタイプから選べます。なお、ベースカラーはホワイト系で、明るく清潔な雰囲気になっています。
【GOD PARTS 07】ペダル

こんなところにもポップな仕掛け
フォルクスワーゲンのEVでは、アクセルペダルに“再生”マークが、ブレーキペダルには“一時停止”マークが刻まれています。こういったあたりが、同ブランドのキャラクター性であり、ポップな雰囲気を醸し出している要因です。
【GOD PARTS 08】荷室

ボードを用いて利便性拡大
一部オプションのフレックスボードを使うことで、荷室を上下棚に分けて、下部には収納ボックスを置くこともできます。また、3列目シートを前方に倒すことで、床面がほぼフラットな荷室空間を生み出せます。
【GOD PARTS 09】インパネボックス


箱の中身は飲料置き
ディスプレイ下部のフタを開けてみると、中から2本分のドリンクホルダーが出てきます。フタ部分のサイズを考えると、あまり高効率ではありません。ですが輸入車は乗員分ないことも多いので、やはり便利です。
ニュービートル以来のポップさ爆発
安ド「殿! 今回はフォルクスワーゲンのID.バズです!」
永福「半世紀前の、いわゆる“フォルクスワーゲン・バス(タイプ2)”のリバイバルEVだな」
安ド「写真を見て、いったいどんなクルマなんだろうと思ってましたが、実車を見たら、シンプルでスッキリしていて、ビックリしました!」
永福「そうか」
安ド「無駄がないし、車体の大きさを感じさせない、良いデザインですね!」
永福「だいぶデカすぎるぞ」
安ド「たしかに幅が2m近いので、取り回しには苦労しますけど、ニュービートル以来のポップさ爆発って感じで良いですね!」
永福「個人的には、かつてのワーゲンバスのように、ヘッドライトを丸型にしてほしかった。そうすればさらに、ポップさ爆発になっただろう」
安ド「言われてみれば。なぜ切れ長ライトにしたんでしょう?」
永福「丸目にしたら、完全な“リバイバルカー”になってしまうからだろう」
安ド「つまり、これはリバイバル&未来志向のデザインってわけですね!」
永福「だな」
安ド「走りに関しては、重量が2.5tもあるのに、加速がめちゃくちゃ良かったです!」
永福「EVだからな」
安ド「少し怖いくらい? 速かったです。このクルマには、モーターのトルクが合ってるんですね!」
永福「EVは、速くしようと思えば簡単だ。しかしそのぶん、航続距離が短くなる」
安ド「航続距離、524kmありますけど」
永福「実際は400kmもいかない。バッテリー容量は91kWと最大級なのに、だ。つまり、それほどエコじゃない」
安ド「なるほど」
永福「値段もエコじゃないぞ」
安ド「たしかに富豪じゃないと買えない値段です。でも、見てるだけで楽しくなりますよ!」
永福「私は少し残念な気持ちになった。かつてワーゲンバスと言えば、遅くて、平和で、ラブ&ピースなクルマだったが、これは逆のイメージだ」
安ド「日本のミニバンのほうが、使い勝手も快適性も広さも勝っていると思いますが、内外装のデザインでそれをカバーできるんじゃないですか?」
永福「無理だ。ミニバンは快適さが何より重要だからな」
安ド「たしかに……」
永福「このクルマより、ダイハツのムーヴキャンバスのほうが、ラブ&ピースだぞ」
安ド「ムーヴキャンバスのデザインって、ワーゲン・バスと似ているのでは?」
永福「イメージはなぞっているが、安くて実用的で癒し感満点だ」
安ド「僕はID.バス派です!」
永福「高くて買えないだろ」
安ド「ま、そうですが……」
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
※「GetNavi」2026年4月号に掲載された記事を再編集したものです。