Vol.163-4
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は「半固体電池」を採用したモバイルバッテリーの話題。リチウムイオン電池ながら“発火しにくい”というメリットと、課題に迫る。
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モバイルバッテリーの発火・焼損事故はどんなときに起きているのだろうか? 単にモバイルバッテリーを持っているだけで発火した、という例はほぼない。事故は例外なく、モバイルバッテリーからスマホや他の機器へと充電しているときに発生している。
モバイルバッテリーから充電する、もしくはモバイルバッテリー自体を充電している際、モバイルバッテリー内に不純物があったり、モバイルバッテリー自体が破損していたりした、としよう。そこでショートが起きて異常な電流が流れると、その結果として異常な発熱が起き、内部の有機溶剤が発火する。これが、モバイルバッテリーにおける発火事故が起きる流れである。
すなわち充電していなければ問題は発生しづらいことなので、「飛行機の中ではモバイルバッテリーを使わない」というルールが定まった……という背景がある。
だが実際には、別の課題でモバイルバッテリーが発熱し、発火事故につながった例もある。
それは、モバイルバッテリーをつなぐ「USBケーブル」だ。USBケーブルが傷んでいたり、USBケーブルをつなぐコネクターのところにホコリが入っていたりすると、それが原因で「ケーブルをつないでいる部分」で異常な発熱が起こることがある。それだけならケーブルやコネクターが異常に熱くなるだけで済むのだが、リチウムイオン電池につながっていると、その異常発熱がバッテリーに移り、燃え広がることになる。
さらに、そうした状態のバッテリーをカバンの中に入れていると熱がこもり、リチウムイオン電池の発火点を超え、事故が発生したりするわけだ。
だから、事故を防ぐには「きちんとしたケーブルを使う」「コネクターのホコリなどを払っておく」「熱がこもるカバンの中で使わない」という点を守る必要があるのだ。これは半固体電池であっても基本的に同じだ。
この点を重視している製品もある。
ウェアラブルクーラーである「REON POCKET」を製造・販売しているソニーサーモテクノロジーは、リチウムイオン電池を内蔵するREON POCKETだけでなく、付属の充電用USBケーブルにも「温度センサー」を内蔵している。理由は、充電・給電中にケーブルで異常発熱が起きた場合、ケーブル自体が電源供給を切るようにするためだ。身につけるものなので事故は100%避けなければいけない。そこで、内部だけでなくケーブルでも対処することで、万が一の事故を防ぐ工夫がなされているのである。
付属のケーブルでなくても充電・給電はできるものの、同社は「できるだけ付属のケーブルを使ってほしい」としている。現状同社の製品では「事故ゼロ」が達成されているが、それも、ケーブルにまで気を遣う安全対策の賜物である。
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