「子規食ム」ってどう読むの? 愛媛の老舗菓子店が本気で作った「餡パン風のまんじゅう」がレトロで美味すぎる

ink_pen 2026/7/10
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「子規食ム」ってどう読むの? 愛媛の老舗菓子店が本気で作った「餡パン風のまんじゅう」がレトロで美味すぎる
中山秀明
なかやまひであき
中山秀明

GetNaviお酒・グルメアドバイザー。GetNavi内食・外食のトレンドに精通した、食情報の専門家。現場取材をモットーとし、全国各地へ赴いて、大手メーカーや大手小売りから小規模事業者まで、幅広く取材している。酒類に関する知識量の多さでは、大手ビールメーカーでも一目置かれる存在。GetNavi・GetNavi webのほかに、テレビや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活躍。

土産ばなし〜地域を代表する定番と裏定番〜

土産は出張や旅の醍醐味だが、毎回同じじゃ芸がない。でもハズしたくはない。そこで推したいのが、超定番土産の陰でツウに熱愛される裏定番だ。今回は「みかん」でおなじみの愛媛県からお届け!

愛媛の銘菓を全国にした「一六タルト」

舶来菓子が地域のご当地土産となった代表例といえば長崎のカステラだが、愛媛のタルトも見逃せない。なかでも定番の銘菓が「一六タルト」である。

愛媛タルトのルーツは諸説あるが、なかでも有名なのは、松山藩主・松平定行公がポルトガル人に教わったのが始まりという説。タルトと呼ばれたその菓子は柑橘のジャムをカステラで巻いたものだったが、松平公はジャムの代わりにあんと柚子を使い、独自のタルトを考案。柑橘に愛媛特産のみかんではなく柚子が選ばれたのは、みかんよりも香りが強く、味のアクセントに適した香酸柑橘(※)だったからと言われている。いずれにせよ、明治以降にその製法が地元の菓子店へ伝わり、タルトが愛媛銘菓となった。

※:果肉を直接食べるのではなく、強い酸味と芳醇な香りを持つ果汁や果皮を風味付けに活用する柑橘類のこと。

【愛媛県の定番土産】

一六本舗
一六タルト「柚子」
172円(ひと切れ)/1058円(1本)

愛媛産の柚子を使ったこしあんと、バターや油不使用のしっとりした生地が美味。ゴディバ監修「一六タルト ビターチョコレート」も人気。

数あるタルトブランドのなかでも「一六タルト」が有名なのは、品質の高さに加え、他社に先駆けた宣伝による訴求効果も。戦後、すぐにラジオ広告を打ったり、TVが浸透した’70年代後半からは伊丹十三監督を起用したCMを流したり。昭和中期ごろからは各地の銘菓を対象とした頒布会で好評を得て、認知は全国区へと広まった。結果「一六タルト」は、愛媛土産の顔となっていったのだ。

愛媛の偉人をフィーチャーした新定番

そんな一六タルトの生みの親、一六本舗の近年のヒット作が「子規食ム餡パン饅頭」だ。愛媛の松山といえば『坊っちゃん』の夏目漱石が有名だが、俳句文化が根付く松山出身の偉人といえば正岡子規であり、同級生の両人は親友でもあった。「子規食ム餡パン饅頭」は、そんな子規が好んで食べていたあん入り菓子パンをイメージして作られたまんじゅうで、土産に適したサイズとやさしい甘さが魅力。「子規が食べている」を「子規食ム」と読む、明治文学風の遊び心ある名前や、レトロでキャッチーなデザインも評判に。

’24年の誕生以来、計50万個を販売する裏定番として人気急上昇中なのだ。

【裏定番】俳人がはむはむしたパンの味を菓子の老舗が巧みにアップデート

一六本舗
子規食ム餡パン饅頭
140円(1個)/961円(6個入)

酵母などを使わず、パン風の食感に仕上げたふっくら生地と、北海道産小豆のつぶしあんがマッチ。味と食感が絶妙なバランスで、パンではなくまんじゅうであるところに菓子店の矜持が感じられる。

※「GetNavi」2026年4月号に掲載された記事を再編集したものです。
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