一般的にわれわれが目にする機会が多いハサミは、ざっくり3つに分けられる。
- 主に紙を切るための「事務用ハサミ(紙切りバサミ)」
- 布用の「裁ちバサミ」
- いろいろなものが切れる「万能ハサミ」
もちろん、ほかにもキッチンバサミやヘアカットハサミ、医療用ハサミ、園芸用ハサミなど多数あるが、自宅にある可能性が高いのは上記3つのどれかだろう。
事務用ハサミは種類も多く価格も手ごろ。プラスの「フィットカットカーブ」シリーズやコクヨの「サクサ」シリーズなどが机上のペンスタンドに立っている、という人も多いだろう。
ただ、これらは基本的に紙を切るようにチューニングされているため、たとえば、ちょっと伸びてきた庭木を切りたいとか、ズボンの革ベルトの長さを調節したいといったときには、うまく切れないこともある。
その点において、なんでも切れる万能ハサミは使い勝手がとてもよい。なかでもオルファから発売されたばかりの新製品「ワークばさみ」は、まさに自宅に1本備えておきたい万能選手なのである。

目次
オルファの新作はオールラウンダー
オルファと言えば、もちろんカッターナイフでおなじみだが、実はハサミもいくつか手がけている。
この7月に発売されたばかりのワークばさみは、オルファ製ハサミのフラッグシップモデルと位置付けられている。「多用途に切れるワンランク上のはさみ」を自称するだけあって、非常に優秀な万能ハサミなのだ。

握りやすい大型ハンドル
軍手などを着用していても使いやすい大型ハンドルは、「黄色と黒色がまさにオルファ!」といったデザインだ。
このハンドルの黒い部分はラバーになっており、グリップ力はかなり高い。さらに、この黒ラバーはハンドルの内側を大きく削り込むような形状になっているため、力を込めて握ったときに親指がハンドルの角に当たらず、痛くなりにくい。
硬いものをグッと力づくで切ることも多い万能ハサミだけに、この仕様はとてもありがたいのである。

鋭角研磨刃でコピー用紙もなめらかに切れる
刃の板厚は約2.5mmと、万能ハサミとしては一般的な厚みなのだが、一見すると、もっと薄くスリムな印象を受ける。
というのも、ワークばさみは刃先が非常に鋭い鋭角研磨刃仕様で、オルファ製ハサミの中で最も鋭い刃が付いている。つまり2.5mmのステンレス鋼をカリカリに鋭く研ぎ上げているので、結果的にほかの万能ハサミよりもスリムに見えるというわけだ。

さすがに鋭角研磨刃だけあって、切れ味は本当にシャープである。普通にコピー用紙を切るときも、紙の繊維を断つジャリジャリ音がしない。ヌルッというか、シュルッと、非常になめらかに切れてしまうのである。
これができるのは、紙用のハサミでも数千円クラスのかなり高級・高品質なものだけ。万能ハサミでこんな切れ味のものは、正直いままでに見たことがないレベルだ。「えっ、こんなに切れるの!?」と筆者はびっくりした。

刃の奥のギザ刃が滑りやすい素材を支える
さらに、よくできているのが、刃の奥にだけあるマイクロセレーション(ギザ刃)加工だ。
紙だけ切る刃なら、ただ鋭いだけでよいのだが、万能ハサミは薄い金属板や生木、プラ板といった滑りやすいものを切ることもある。これらは切り始めにツルッと滑ってしまうと、刃が進まなくなり、切れなくなってしまうのだ。
そこで、刃の奥——つまり切り始めの部分——だけギザ刃でガッチリと押さえて、挟み込んでカットする。あとは、そこを起点に鋭角刃で切り進めていくという仕組みである。


つまり、ツルツルした切りづらいものは刃の奥から、紙などの切りやすいものは刃の真ん中あたりから切り始める。こうすることで、鋭角刃とギザ刃のそれぞれの長所が使い分けられるというわけ。
切る対象によってハサミをいちいち別のものに持ち替える手間もなく、この1本さえあれば、まさに万能。切れ味だけでなく、使い勝手も優秀なのだ。
テクニックナイフは繊細な素材向きの専用刃物
オルファからもうひとつ新製品が出ているので、あわせて紹介しておこう。ちょっと特殊な扇形の刃を持つオルファ「テクニックナイフ」だ。

これは刃のカーブを利用して切ることで、刃が引っかかってヨレやすい薄布や、濡れた障子紙をスパッとカットできる。かなり用途が特化したニッチな刃物である。
先ほど新製品と述べたが、実は過去にオルファ社内で一度廃番となっていた経歴がある。廃番となっていた時期にも障子紙の貼り替え専用ナイフとして別メーカーのOEMとして流通していたのだが、今回改めてオルファブランドに復活した、という流れだ。

布やフェルトをきれいに切れる理由
というのも、テクニックナイフは布などの繊細なカットに向いているからだ。
たとえば、フェルトのような粗い繊維の詰まった布は、よほど切れ味のよい刃物でない限り、繊維に刃が引っかかってしまうこともある。これは刃が切断物に対して“点”で触れていることが原因だ。
しかし、扇形の刃なら広い面積で触れることができるので、引っかかりなく、きれいに切ることができるのである。

ハンドクラフト人気で復活
また、扇形の刃を垂直に降ろすことで、角をストンと切り落とすことも可能。こういった使い方ができるのは、手芸用ナイフとしてとても便利なのだ。
そういうこともあって、昨今のハンドクラフト人気が後押しする形で復活を果たしたようである。
実際に使ってみると、確かにちょっとほかにはない使い勝手で非常に切りやすい。ニッチな刃物ではあるが、ほしがる人は間違いなくいるだろうなと感じた。