Nothingが完全ワイヤレスイヤホンの良質なエントリーモデル、「Ear 3(a)」を発売しました。
アップルのAirPods Proシリーズに迫る多機能を備えながら、実売価格は15,800円(税込)前後。AirPods Pro 3は先日の値上げで4万円台に乗る高価格モデルになってしまったため、場合によってはこちらのほうがお買い得感が高い……ということもあるかもしれません。
はたして実際の使用感はどうなのか、検証してみました。
ドライバー大型化で音場の広がりや透明感がアップ。ピンクのカラバリも印象的

Ear 3(a)は、2024年にNothingが発売したワイヤレスイヤホン「Ear(a)」の後継機。従来モデルは鮮やかなイエローのカラバリを揃えたセンセーショナルなヒット製品でした。
続いて2025年にはNothing初のヘッドホン「Headphone(1)」が誕生し、今年の春にはその弟妹機である「Headphone(a)」も市場投入されました。同社が着々とポータブルオーディオのラインナップを充実させる中、1万円台中頃の手頃な選択肢であるNothing Ear 3(a)は、「ポータブルオーディオにNothingあり」といったブランドイメージの向上やユーザー拡大におおいに寄与しそうです。
さて、Nothing Ear 3(a)には注目すべきポイントが4つあります。

ひとつはデザイン。カラバリには新色の「ピンク」を初めて投入しました。春に発売したスマートフォンのPhone 4a、Phone 4a Proにもピンクのカラバリが用意されていましたが、どちらかと言えば淡いピンクでした。一方のEar 3(a)はビビッドで濃いピンク。夏の強い陽射しにも負けない存在感を耳もとで放ってくれます。
充電ケースもコンパクト化が図られています。それだけでなく、機能性を活かしながらデザインも進化しました。ケースの内側表にはバッテリー残量を表示するインジケーターを配置。グリフバーのコンセプトを受け継ぐデザインアイコンとしています。

ふたつめはサウンドへのこだわりです。従来のEar(a)は、11mm口径のダイナミック型ドライバーによるパワフルなサウンドを特長としていました。Ear 3(a)では口径サイズが1mmアップして12mmになり、ドライバーを駆動するマグネットも強化。イヤホンのハウジング内部を空気が移動するスペースを見直して、力強い音がスムーズに鳴らせる設計にアップグレードしています。

結果として、低音域だけでなく中高音域の余裕が生まれているのが特徴です。実際に試聴してみると、ボーカルやアコースティック楽器の余韻にゆとりが生まれているのがわかります。Ear(a)ではやや押し出しが強く、つまり気味に感じられていた低音のヌケも向上。音の立体感が増したことで、音場の広がりや奥行きの透明感がぐんと良くなっています。
全体的にバランスが良くなり、映画の効果音、ゲームの電子音なども鮮やかさが増して「映える」サウンドな印象を受けました。Bluetoothの高音質コーデック「LDAC」に対応するスマホやポータブルオーディオ機器であれば、Ear 3(a)とペアリングしてハイレゾワイヤレス再生も楽しめます。
会議や通話を録音できる「オーディオスナップショット」などソフトウェア面も強化
3つめに、ノイズキャンセリングと外音取り込みモードの強化が挙げられます。

ノイズキャンセリングについてはEar(a)と同じく、最大45dBの消音性能というスペック上の数値は変わっていません。しかし消音効果のバランスを見直したことで、特に中低音域の漏れ聞こえてくるノイズが少なくなった印象を受けます。電車やバスの交通騒音、商業スペースではザワザワとする人の話し声も静かになり、コンテンツのサウンドに集中できます。
AirPods Pro 3に対する消音レベルを比較してみても、NothingのEar 3(a)が劣る感じはありません。外部の環境ノイズのレベルに合わせて、イヤホンが消音バランスを自動調整する「アダプティブ」のモードもあり、基本的にアダプティブに設定しておけば、常にベストな消音効果が得られると思います。
外音取り込みの性能についても、前機種のEar (a)に比べてクリアさが増しています。1.5万円〜2万円台のワイヤレスイヤホンの中では、Ear 3(a)の外音取り込みはかなりレベルの高い出来映えだと感じました。ただし、現行のあらゆる製品で最高クラスの完成度を誇るAirPods Pro 3の外音取り込みにはさすがに及ばない印象。価格差があるので、そこは致し方ないポイントと言えそうです。
最後に注目したい新機能が「オーディオスナップショット」。
これは、イヤホン本体に内蔵するストレージに音声ファイルを記録できる機能です。録音できる音源は「Bluetoothによりペアリングされているデバイスが再生している音声」。オンライン会議や音声通話であれば、1回のセッションで最大2時間までの録音ができます。音楽や動画など、コンテンツの音声は最大30秒まで記録します。一方で、イヤホンに内蔵するマイクを使って録音する機能ではないため、対面による会話の録音はできません。
オーディオスナップショットは、イヤホンのスティック部分に用意されている本体内蔵センサーリモコンの操作により起動可能です。デフォルトでは片側を2回クリックして、2回目をそのまま長押しするか、または両側を同時にクリックする操作方法に割り当てられています。

録音されたオーディオファイルはモバイルアプリの「Nothing X」に保存されます。録音は必ずしもスマホの通話である必要はなく、たとえばEar 3(a)をPCにペアリングしている状態でオーディオスナップショットによりオンライン会議を録音するような使い方もできます。ただし、音声ファイルはモバイルアプリ内に同期される仕様です。そのままNothing Xアプリ上で文字起こしもできます。
実際に家族とDiscordで通話したほか、Andoridスマホで再生した音楽をiPhoneにインストール済みのNothing Xアプリに記録してみました。録音操作はとても簡単で、マイクを使わずにシステム音声をそのまま記録するため、音質もクリアです。
文字起こしは、Nothing Xアプリを入れた端末上のローカルモデルを使ってオフラインで行える「標準(高精度)」「標準(高速)」のほか、時期は未定とされていますが、今後はサーバーモデルを使ってより高精度な文字起こしができるサブスクサービスの「Pro」も提供する予定。ローカルモデルによる翻訳は、「標準(高精度)」を選んでも正確さがもう一息であるように感じられます。もし音声を録音するだけでなく、仕事の用途などで文字起こしと要約を本気で使いたい方は、将来的に「Pro」の契約を検討してみても良さそうです。
イヤホンをペアリングするだけで音声通話も含むすべてのBluetooth経由のサウンドを簡単に録音できる機能は貴重です。これ以外では、ANKERのワイヤレスイヤホン「Soundcore Liberty 5 Pro Max」のように、まずは充電ケースを使用した対面スタイルの音声録音から対応して、後からペアリングしたデバイスの通話、オンライン会議音声の録音にも対応する製品もあります。こうした「会話を録音」できて、そのままAIによるテキストの翻訳や要約にも使えるワイヤレスイヤホンは、これからの主戦場になると思います。
独自機能もあり高コスパ。あえてiPhoneと組み合わせるのもアリか

Nothingの新しいEar 3(a)は、バランスの良いサウンドと、十分に高い効果を実現したノイズキャンセリングと外音取り込みの完成度、そして手軽に扱えるデザインを実現しながら価格を1.5万円台に抑えた、とてもコストパフォーマンスの高いワイヤレスイヤホンです。
スタイリッシュなデザインと、これからビジネスシーンでも大いに活用できそうなオーディオスナップショットという「個性」も備えています。「iPhoneに合わせるべきワイヤレスイヤホンはAirPods」と信じているiPhoneユーザーの皆さんにも、こんなにおもしろくてコスパがいい選択肢があることを広く知ってほしいです。
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