炊飯器は数万円で買えるモデルから、10万円前後の高級モデルまで価格の幅がかなり大きい家電です。そこで気になるのが、「高い炊飯器で炊いたごはんは、本当にそれだけおいしいの?」ということ。
そんな疑問を実際に食べて確かめられるイベントを、パナソニックが開催します。それが、ごはん試食体感イベント・パナソニック炊飯器 「食べ比べ亭」です。
一般開催を前に行われたメディア向け体験会では、2026年9月発売の最上位モデル「X9Eシリーズ」の進化点も披露されました。さらに筆者も「食べ比べ亭」と同じ、最上位モデルとベーシックモデルで炊いたごはんを実食。果たして価格の違いは、味の違いとして感じられるのでしょうか。

乾燥した米を新米のようなおいしさに近づけたい

まずは、今回発表された新しいX9Eシリーズから見ていきましょう。
パナソニックが2026年モデルの開発で着目したのが、家庭で保存しているうちに乾燥してしまったお米です。
同社の説明によると、お米の含水率は精米後から低下していきます。また、同社の調査では、お米を冷蔵保存していない人が約6割、開封してから食べ切るまでに2か月以上かかる家庭も約4割に上るとのこと。
つまり、買ったばかりのお米と、家庭でしばらく保存したお米では状態が違います。
一方、新米に対する意識を調査すると、約7割が新米を「おいしい」と回答。その具体的なイメージとして、「みずみずしい」「ふっくらしている」「甘みが強い」などが上位に挙がりました。
そこで新しいX9Eシリーズが目指したのが、乾燥したお米でも「いつも新米のようなおいしさ」に近づけることです。
新X9Eは「火力を強くした」だけじゃない
X9Eシリーズは「ビストロ匠技AI」と「Wおどり炊き」を搭載。4つのセンサーで釜の中の状態を見極めながら、約9600通りのプログラムから炊き方を調整します。

今回、特に進化したのが「高速交互対流IH」の使い方です。
釜底に配置したIHコイルの内側と外側を切り替えて集中加熱することで、釜の中に異なる対流を発生させる仕組み。新モデルでは、特に内側からの強い熱対流を炊き上げ工程で積極的に使うようになりました。
ただし、単純に火力を強くすればいいわけではありません。
Panasonic Cooking @Labで炊飯器の研究・開発に携わる加古さおり氏によると、強く加熱しすぎると、お米の中心まで十分に吸水する前に温度が上がってしまい、硬い仕上がりになってしまうといいます。
そこで重要になるのが、釜内の温度を細かく検知するリアルタイム赤外線センサー。お米の状態を見極めながら高速交互対流IHを制御することで、すばやく、かつムラを抑えて温度を上げます。

加古氏は個別取材で、従来は釜底にセンサーがあることから中央部を強く加熱し続けることが難しかったと説明。今回はその課題を解決する技術を取り入れたことで、「より釜の中全体に火が通るようになって、どこを取ってもムラなくおいしい方向へ進化した」と話していました。
新旧モデルを食べ比べると「粒」が違う
では、その進化は食べればわかるのでしょうか。
まずは新しいX9Eと、2025年モデルのX9Dを食べ比べました(※)。試食に使われたのは2025年秋に収穫された「つや姫」。精米直後ではなく、家庭で2週間程度保存した状態を想定した、少し乾燥したお米です。
※こちらは一般開放される食べ比べ亭では提供しません

最新モデルのX9Eでまず印象に残ったのは、粒立ちとハリ。一粒一粒の形がはっきりしていて、粒もきれいにそろっているように見えます。口にすると甘みがあり、その余韻も長く感じました。
一方のX9Dは、X9Eと比べると米粒にわずかにばらつきがあるように感じます。味わいはあっさり、さっぱりしていて、食感も少しやわらかめでした。
パナソニック独自の測定でも、乾燥したお米を炊いた場合、従来モデルに比べて新X9Eでは粒表面のハリが約6%、粒の中のやわらかさが約7%、ツヤが約6%向上したとしています。
先述の加古氏によれば、現在パナソニックが特に重視しているのが「ハリ」「粒立ち」「噛むほどに出てくる甘み」。今回のX9Eについても「いいごはんになっている」と手応えを感じているそうです。

約10万円と3万円台、はっきり違いがわかった
そして、いよいよ「食べ比べ亭」と同じ食べ比べです。
比較したのは、最上位のX9Eシリーズ「SR-X910E」と、ベーシックモデルのN3Eシリーズ「SR-N310E」。
なお、こちらはブラインドテストではなく、どちらの炊飯器で炊いたごはんかを知った状態で試食しています。

この2台は価格だけでなく、炊飯技術にも違いがあります。
SR-N310Eは、加圧状態から一気に減圧して激しい沸騰を起こす「おどり炊き」を搭載した可変圧力IH炊飯器。釜全体を加熱する「大火力包み加熱」と「備長炭釜」も採用しています。つまり、シンプルな廉価版というわけではありません。
一方、SR-X910Eは急減圧に加え、内側と外側を切り替えて集中加熱する「高速交互対流IH」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。さらに前述した「ビストロ匠技AI」が、センサーで捉えたお米の状態に合わせて炊き方を調整します。
この技術差が味にも出るのか、興味深く試食してみたところ、筆者にもはっきりと違いが感じられました。
X9Eで炊いたごはんは甘みが強く、米粒の外側にはハリがある一方、中はやわらか。噛んだときには、単に硬いのとは違う弾力があります。香りもN3Eより豊かに感じました。
対するN3Eはかなりあっさり、さっぱりした味わいで、甘みも控えめ。食感は硬めですが、X9Eで感じたような弾力はそれほど感じません。もちろん、N3Eのほうを単独で食べれば普通においしいごはんですが、X9Eと交互に食べると、やはり差が見えてしまいます。
開発者が狙ったのも「外にハリ、中はやわらか」
試食後、筆者が感じた違いについて加古氏に聞いてみました。
加古氏によると、N3Eのごはんも「硬いなりに全体が硬くて、しっかり噛み応えのあるごはん」で、決して悪い炊き上がりではないとのこと。
一方、上位モデルになると米粒の膨らみが違い、よりふっくらとした仕上がりになります。そして目指しているのが、外側にはハリがあり、中はやわらかい、弾力のあるごはんだといいます。
筆者が食べて感じた「外側にはハリがあるのに、中はやわらかい」という印象は、まさに開発側が狙っていたものだったわけです。
また、香りについても上位モデルでは加熱の違いが影響している可能性があるとのこと。最後の蒸らし工程で行う「加圧追い炊き」の温度が高く、ごはんの香りを感じやすくなるそうです。

約10万円と3万円台。この価格差をどう見るかは人によって変わるでしょう。ただ、炊飯器はほぼ毎日使い、数年間使い続ける家電です。毎日のごはんのおいしさをどこまで重視するかによって、この価格差に対する評価も変わってきそうです。
最上位だけじゃない。2026年モデルは6シリーズで展開
パナソニックでは2026年の「おどり炊き」炊飯器を、最上位X9Eシリーズを含む6シリーズで展開します。
今回の新製品では、最上位モデルで5.5合炊きの「SR-X910E」が市場想定価格10万円前後、1升炊きの「SR-X918E」が10万5000円前後。5.5合炊きの「SR-X710E」は7万円前後、「SR-N610E」は5万5000円前後、3.5合炊きの小容量タイプ「SR-C306E」は3万5000円前後とのこと。

「高級炊飯器って違うの?」を自分の舌で確かめられる貴重な機会
炊飯器はスペック表を見ても、味まではなかなか想像できません。まして約10万円と3万円台の炊飯器で、炊き上がりがどれほど違うのか、食べないとわからないのは自明の理。だからこそ、「どうぞ、食べて確かめてください」という「食べ比べ亭」は、高級炊飯器の価値を知るには貴重なイベントだと感じました。

「食べ比べ亭」は全国5都市で開催。東京会場は東京ミッドタウン ガレリアB1「アトリウム」で、9月5日(土)~9月6日(日)の2日間開催されます。
その後は、札幌「2026さっぽろオータムフェスト」(9月11日~13日)、大阪「テレビ大阪YATAIフェス!2026」(9月18日~21日)、福岡「RKBカラフルフェス2026」(10月10日~11日)、名古屋「名古屋まつり」(10月17日~18日)を巡回する予定です。
高級炊飯器で炊いたごはんは本当に違うのか。気になる人は、ぜひ自分の舌で確かめてみてはいかがでしょう。
