完成度高いビジネスマシンに遊び心を追加! 独自機構の「VAIO T」は使い勝手的にどう?

ink_pen 2026/9/10
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完成度高いビジネスマシンに遊び心を追加! 独自機構の「VAIO T」は使い勝手的にどう?
小川秀樹
おがわひでき
小川秀樹

編集プロダクションで編集・ライターとしてのキャリアをスタート。ビジネス、旅行、スマホ関連、著名人インタビュー記事などを幅広く制作してきました。趣味は国内外の旅行。特に東南アジアの文化を好み、タイとミャンマーには3年間の在住経験があります。

2026年9月10日、VAIOが新機種「VAIO T」を発表しました。従来のVAIOで培われてきた「ビジネスを強力に支えるハードとソフトの完成度」をベースにしながらも、強烈な個性を放つ新モデルです。

往年のVAIOファンには懐かしい「VAIO Z」の遺伝子も受け継ぐ本機種をお借りして、いち早く検証してみました。

新たな体験を提案する「VAIO Next シリーズ」

VAIOブランドがソニーから独立したのが2014年7月のこと。2025年には家電量販店ノジマ チームの一員となるなどの変遷を遂げながら、日本のPCブランドとしての地歩を着実に固めています。

そのVAIOが今回の新製品で商品ラインナップを再構築しました。

同社の個人向けPCラインナップは現在、「SX、S、F」という3つの系統で構成されています。

SX:ハイエンドのモバイルノート。フラッグシップモデル「SX14-R」、14.0インチの「SX14」、12.5インチの「SX12」が該当。
S:13.3インチのアドバンストモデル。「S13」が該当。
F:スタンダードモデル。14インチの「F14」、16インチの「F16」が該当。

VAIOは今回の再構築で上記3系統を基幹とする「VAIO シリーズ」と位置づける一方、新しいスタイルと体験を提案するシリーズとして「VAIO Next シリーズ」を立ち上げました。

その新シリーズ第一弾機種となるのが、今回レビューするVAIO Tです。

ビジネスシーンで大活躍する豊富なインターフェース

まずはVAIO Tの外観から見ていきます。

本機種のカラーバリエーションは、ファインブラックとファインレッドに加え、VAIO独自のカラーである「勝色」(濃い藍色)の3つがラインナップされています。

このうち、今回試したのはファインレッド。実際の色味は若干オレンジがかった鮮やかな赤ですが、素材に高級感があるためかそこまで派手な感じはせず、落ち着いた印象を受けました。

↑キーの色は黒。タッチパッド部分は色味の異なる濃い赤が配されている

ディスプレイは、13.3インチワイド(16:10)のタッチ対応WQXGA液晶を採用しています。13.3インチは人気のサイズですが、これまでのVAIOのラインナップではアドバンストモデルのS13のみでした。そこに今回、本機が新たな選択肢として加わった形です。

ディスプレイを開くと最初に気がつくのが、キーボード奥側が数センチ高くなる設計になっていること。これは既存のSX14-Rなどでも採用されている機構で、これによりタイピング時の手首の負担が大きく軽減されます。

↑一見不安定に見えるがタイピング時のガタつきは感じない

キーボードのピッチは余裕のある作り。実測してみると約19mmのフルピッチとなっていました。キーの押し心地はよく、静音性が高い作りになっているのが好印象。

↑13.3インチとコンパクトでも主要キーにおいてフルピッチをしっかり確保

そして、本機種の大きな特徴のひとつが、インターフェースの充実ぶりです。USB-CとUSB-Aが2ポートずつ、さらにHDMI、イヤホンジャックに加えて有線LANポートも完備。ビジネス用途の場合、大きなアドバンテージとなります。

↑右側面。奥からUSB -C、有線LAN、HDMI、USB -A、イヤホンジャックが並ぶ
↑左側面にはUSB-CとUSB-Aが1ポートずつ。なお、USB-Cは左右どちらも充電に対応する

VAIO Zのギミックを受け継ぐ「トリプルスタイルPC」

VAIO T最大の特徴は、1台で3つのスタイルを使い分けられる「トリプルスタイルPC」であること。それぞれのスタイルを解説します。

ノートPCモード

基本のスタイルです。このモードを基本として、以下のスタイルに自在に変更することができます。

タブレットモード

ノートPCモードの状態でディスプレイの裏側を押すと、真ん中から折れ曲がります。この状態で天板を閉じると、タブレットモードとなります。

ビューモード

ディスプレイの裏側を押して折り曲げたあと、そのまま画面の向きを反転させるとビューモードになります。画面を対面の人に見せる際にも便利なモードです。

テント型と比較してスタイル変更がしやすいのが魅力

こうしたモード変更自体は他社PCでも多く採用されていますが、特徴的なのは「ディスプレイの裏側を折り曲げる」というギミックです。

他社PCの場合、こうしたスタイル変更のギミックは一般的に「テント型」が多く採用されています。この機種でスタイルを変更するときは、下の写真のように本体を持ち上げてディスプレイ面を任意の角度まで回転させる必要があります。

↑閉じた状態からタブレットモードにするには約360度回転させる必要がある

この持ち上げる一手間のため、カフェなどの狭い場所や電源ケーブルなどが刺さった状態だとスタイル変更がしにくいという欠点があります。

VAIO Tのギミックは、狭い場所でもケーブルが刺さっていてもスタイル変更が容易。これは大きなメリットだと感じました。

VAIO Zからの進化ポイントと削減されたポイントは?

長年のVAIOファンはすでに気づいているかもしれませんが、この独特なギミックは約10年前に発売されたVAIO Zのものを受け継いでいます。

当時から進化した点として挙げられるのが、ディスプレイとキーボードの干渉です。VAIO Zは干渉を避けるためキーボード面が少し下がった作りになっていたのが、VAIO Tでは完全にフラットな作りとなりました。

↑左がVAIO Zで、右がVAIO T(勝色特別仕様)。VAIO Zはキーボード全体がわずかに下がっていることがわかる

そのため、本機種では折りたたむ際にキーボードと画面が干渉しないように、画面上部に若干の突起をつけるという工夫がされています。

こうした改善ポイントの一方、削減された仕様もあります。それがスタイラスペンです。VAIO Zは「デジタイザースタイラス(ペン)」が付属していたのですが、本機種には付属しません。

そもそも本機種のディスプレイはタッチ対応ではあるものの、ペンには非対応となっています。そのため、タブレットモードにしてペンタブとして使うことを想定している人は注意が必要です。

充実のビジネス系独自アプリに加えてウェルネスアプリが追加

次にスペックやアプリを見ていきましょう。VAIO Tはノジマの店頭販売と、VAIOストアで購入する2つのルートがあります。販売チャネルやカスタムによってスペックは異なるので、ここでは選択可能な主要スペック値のみを取り上げます。

プロセッサー・Core Ultra 5 325
・Core Ultra 7 356H
・Core Ultra X7 358H
メモリー・16GB
・32GB
・64GB
SSD・スタンダードSSD 256GB
・ハイスピードSSD 512GB、1TB、2TB

ここで注目すべきは、プロセッサーです。

どのCPUを選んでも最新のAI機能を快適にこなせる高い基本性能を備えています。なかでも注目したいのが、VAIOストア限定販売の勝色特別仕様でのみ選択できる「Core Ultra X7 358H」。

こちらはグラフィックス性能が大幅に向上した新ラインで、動画編集やクリエイティブワークにも耐えうるパワフルさが魅力です。

ビジネスシーン特化の独自アプリが便利

本機には、従来機種で培われたビジネスに役立つVAIO独自のアプリがしっかりと継承されています。スペック比較だけでは見えにくい他社機との差別化要素であり、ぜひチェックしたいポイントです。

特に注目したいのが、AIカメラとセンサーを活用したセキュリティ機能「VAIO User Sensing」。PCから離れると自動でロックする「離席オートロック」や、背後からの視線を検知して画面輝度を下げつつ警告を出す「のぞき見アラート」を備え、出先での情報漏洩を未然に防ぎます。

さらに、画面から目を逸らすと自動で減光する「ノールック節電」など、バッテリー節約まで自動でこなしてくれる賢さが魅力です。

↑センシング機能の設定画面。のぞき見アラートなど、VAIO独自の細かいチューニングが光る

このほかにも、周囲の雑音を抑えつつ音の指向性を調整してオンライン会議を快適にする機能など、ビジネスを円滑に進めるアプリが充実しています。

日々の健康チェックを習慣にできる「VAIO ウェルネスケア」

さらに注目したいのが、今後のVAIOに順次搭載されていく予定の「VAIO ウェルネスケア」です。こちらは、PCの内蔵カメラで顔を検知し、最短3秒で血管情報と心拍情報をまとめて測定・記録できるヘルスケアアプリ。PC作業中に自然と計測できるので、日々のコンディションを無理なく把握できそうです。

本機能は現在VAIO SX14-R向けに先行プレビュー版が配布されていますが、VAIO Tでは、9月末頃に正規版のDL配布が行われる予定です。

↑毎日触れるPCとヘルスケアアプリの親和性は高い(画像はVAIOのサイトから)

ビジネス特化マシンにトリプルスタイルの遊び心が加わった一台

以前VAIO SX14-Rをレビューした際、仕事用AI PCとして極めて高い完成度を備えているという感想を抱きました。

VAIO Tもそれをしっかりと受け継いでおり、豊富なインターフェースやビジネスに直結する独自アプリなど、現場で頼れる要素が凝縮されています。

そのうえで、本機は13.3インチというよりコンパクトなサイズ感を実現。そこに「トリプルスタイル」の自由な変形ギミックが加わったことで、従来のビジネスノートの枠を超えた、新しいワークスタイルも提案してくれています。

さらにVAIOは、「3年でバッテリー性能が80%以下になったらバッテリーを無償交換」というサービスを展開しています(個人向けの場合。法人機種なら4年で60%以下)。

ハード、ソフト、そしてバッテリー保証制度などのあらゆる面が、タフに働くビジネスパーソンに寄り添った一台に仕上がっているといえるでしょう。

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