三菱電機は9月9日、ルームエアコン「霧ヶ峰」の2027年度モデルを発表しました。あわせて、2027年のブランド誕生60周年を前に、新たなブランドコンセプト「長い目で見ても、霧ヶ峰。」を掲げます。

「エアコンは一度買うと10年以上一緒に過ごす、長い付き合いになる家電製品です」と話すのは、三菱電機 執行役員 静岡製作所長の岩上 徹氏。購入時の価格や性能・機能といった「点」だけでなく、購入から買い替えまでを「線」で捉え、長く快適に使うための機能やサービスを強化していくといいます。

“弱く運転するとき”の効率を高めたZWシリーズ
2027年度モデルのうち、10月30日に発売されるプレミアムモデル「ZWシリーズ」は、2.2~9.0kWの全12機種をラインナップします。大きな進化点が「小能力時高効率型コンプレッサー」の搭載拡大です。

近年は高気密・高断熱住宅が増え、室温が安定したあとは大きな冷暖房能力を必要としないケースが増えています。また、猛暑によってエアコンを長時間運転する機会も増加しました。
「高気密・高断熱の家も非常に増えてきています。また、今年の酷暑でも、長い時間エアコンを使うなど使い方が変わってきているなかで、低能力での運転が非常に求められています」と、静岡製作所 ルームエアコン製造部長の松本 崇氏は説明します。

そこで、従来は7.1~9.0kW機に搭載していた小能力時高効率型コンプレッサーを2.2~6.3kW機にも拡大。ZWシリーズ全12機種に搭載し、最小能力を最大約60%低減するなど、負荷が小さいときにも効率よく安定した運転ができるようにしました。
なお、2027年度モデルのAPF(通年エネルギー消費効率)は基本的に前年モデルと同等で、ZWシリーズでは5.6kW機のみ若干向上しています。
松本氏によると、「小能力時高効率型コンプレッサーはAPFの数値を大幅に押し上げるものではないものの、低負荷時の省エネには効果がある」とのこと。カタログ上の数値だけでなく、実際に長時間使うなかで多く発生する“それほどパワーを必要としない時間”に目を向けた進化といえそうです。
昨晩の「暑かった」「寒かった」を翌日の運転へ反映
家電統合アプリ「MyMU」も進化しました。
「おやすみサポート」では、就寝前に部屋を冷やし、就寝中に室温が上昇すると自動で運転を再開。今回新たに、翌朝にユーザーが前夜の睡眠環境を評価すると、その結果に応じて次回以降、より好みに合った設定温度や運転開始の基準温度へ自動的に近づけていく機能が加わりました。

「今回のアップデートで、お客様の好みに合わせて翌日以降の運転を自動で調整できるようになりました」(松本氏)
スマートデバイスと連携すれば、睡眠データとエアコンの稼働時間、室温変化をグラフで確認することもできます。

さらに「MyMU」の「シーン」機能では、起床や就寝、帰宅、外出などに合わせた好みの運転設定を登録可能。家族が増えたりペットを飼い始めたりと、長く使う間にライフスタイルが変わっても、そのときの暮らしに合わせてエアコンの使い方を変えられます。
掃除のタイミングもアプリがお知らせ
新たに追加される「My家電レポート」では、前月の電気代や運転時間などをレポート形式で通知。さらに積算運転時間に応じて、お手入れのタイミングも知らせます。
発表会では、実機を使ったお手入れの実演も行われました。
霧ヶ峰は従来から、パーツを取り外して掃除できる「はずせるボディ」を採用しています。ダストボックスには約10年分のゴミをためることができ、フィルターのお掃除メカも取り外し可能。お掃除メカ本体には電子部品を使用していないため、水洗いできます。
さらにパーツを取り外すと熱交換器が露出し、ブラシを付けたハンドクリーナーなどで直接掃除できます。上下フラップや左右風向ルーバーも取り外せるため、風の通り道や奥のファンまで自分でお手入れできます。


自分では対処しきれない汚れやニオイが気になる場合には、三菱電機の公式サービスからエアコンクリーニングを依頼することもできます。My家電レポートでお手入れのタイミングを知らせ、自分で掃除するか、必要に応じてプロのクリーニングにつなげるという流れです。

また、故障などのトラブルにも購入後のサポートを広げます。MyMUではエラーコードを通知し、ユーザー自身が状況を把握してスムーズに修理を依頼できるようにするとのこと。三菱電機は今後、機器の状態を分析し、「汚れが気になる前にメンテナンス、壊れる前に気づき、困る前にサポートすること」を目指しています。
「買った時が一番いい状態ではなく、使い終わるまでずっと快適で安心であること」。岩上氏が語った新ブランドコンセプトの狙いが、こうした購入後のサポートにも表れています。
10年以上先の買い替えまでつながる
ZWシリーズは10月30日発売で、価格はオープン。原材料価格の上昇などもあり、デラックス機種では従来から約10%の価格上昇を見込んでいるとのこと。
一方、岩上氏は「購入費用に電気代の削減効果を加味したトータルコストで比較していただくことが、今後重要になっていく」と説明します。
三菱電機によると、エアコンの一般的な買い替えサイクルは10~13年。さらに同社は将来的に、運転履歴をもとに買い替え時期やおすすめ機種を提案することも構想しています。
「霧ヶ峰を選んでよかった、次も霧ヶ峰にしたい。そう思っていただけるブランドでありたい」と岩上氏。
購入後もアプリやメンテナンス、修理などを通じてユーザーとの接点を切らさず、10年以上先の買い替えでも再び霧ヶ峰を選んでもらう。「長い目で見ても、霧ヶ峰。」には、ユーザーに長く快適に使ってもらうことと、長期的なブランド戦略、その両方が込められているようです。
