Vol.165-2
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はサムスンが発売した「Galaxy」の2つ折りスマートフォンの話題。開いたときの縦横比が4:3のモデルを登場させた狙いは何か。
今月の注目アイテム
サムスン
Galaxy Z Fold8
26万9880円(256GB/12GB)~

2026年は折りたたみ型(フォルダブル)のスマートフォンに注目が集まっている。サムスンが8月に「Galaxy Z」シリーズの最新モデルである「Z Fold8」「Z Fold8 Ultra」「Z Flip8」を発売し、モトローラも「motorola razr fold」を、Googleは「Pixel 11 Pro Fold」を発売した。
さらに、本記事を執筆している8月末の段階では噂にすぎないものの、かなり確度の高い情報として、アップルも折りたたみ型への参入を決め、今秋以降の発売を予定しているとされる。
率直に言って、ここまで製品が集中する背景には、「アップルが製品を出すだろうから」という事情がある。ジャンルに注目が集まるときは製品の売りやすさにつながる。世間の関心を大きく変えてしまうほど、アップルという企業への注目度は高く、iPhoneという製品の影響力も大きい。
とはいうものの、すべてのメーカーがアップルの動きに追随したものと考えるのも、単純すぎる。
ここにきて、特に横方向の折りたたみタイプが増えてきたのには、アップルの影響以外に2つの理由がある、と筆者は考えている。
1つ目の理由はディスプレイの生産拡大。折りたたみスマホの中でも、横方向に折りたたむタイプは、特別なパーツを多く使うため高価であり、特にコスト面で厳しいのがディスプレイ周辺だ。サイズが大きいこと、一般的なスマホとは縦横比が違うため流用できないこと、折り曲げるために特殊な構造が必要なこと、そして、本体の内側と外側の両方にディスプレイが必要であることなどから、通常のスマホとは比較にならないほどコストがかかる。
とはいえ、問題の多くは量産によって解決できる。大量に生産できれば、固定費が分散され、1台当たりのコストは下がる。ここで積極的に売り込みを行うのは、端末メーカーよりも部品メーカーのほうだ。特にディスプレイでは、量産によるコスト低減が重要だ。
正確に言えば、一定以上の生産量を見込めなければ、生産ラインの構築が難しい。そのため、できるだけ多くの見込み顧客、すなわち端末メーカーを集める必要がある。折りたたみスマホを作るメーカーが増えるという予測のもとに、ディスプレイメーカー側が積極的な生産と営業活動に乗り出していると考えられる。
2つ目の理由は安価なスマホが苦戦していることだ。
部品としてメモリーやストレージが高騰しており、どんなスマホにも等しく影響が出てくる。ただ、低価格なモデルはもともと利益率が低いため、必須部品であるメモリーなどが値上がりすると、影響を直接受ける。
一方、高価格帯の製品は、もともとの価格が高いため、メモリー価格の高騰で部品単価が多少上がっても、旧機種からの価格上昇率を抑えやすく、収益性も高い。
高価格帯の製品は販売台数が少ないが、それでもメーカーは利益率を維持したい。メーカーには「今年は特にハイエンドモデルを売りたい」という思惑があり、そこに、折りたたみスマホ向けディスプレイを売りたいディスプレイメーカー側の思惑が合致する。結果として、ハイエンドの象徴でもある折りたたみスマホが注目されるわけだ。
逆に言えば、折りたたみスマホの課題はシンプル。価格だ。
価格の問題を各社はどう見ているのだろうか。次回はメーカー側の対応を解説する。
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