乗り物
2017/5/22 17:44

【画像多数】今後主流となるブレーキのメンテを学ぶ! ロードバイク・ディスクブレーキのブリーディング方法(シマノ他)

ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回は、「ディスクブレーキのブリーディング(ブレーキフルードの交換、エア抜き)※シマノ他」のやり方についてレクチャーしていきます。ここ数年、ロードバイクに急増中のディスクブレーキ。油圧タイプの場合、定期的なミネラルオイルの交換が必要です。

 

【使用する工具】

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ブリーディングキット、アーレンキー

 

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スパナ

 

【レバー側のボルトを外す】

マウンテンバイクシーンで は90年代に登場し、すでに主流 となっている油圧式のディスクブレーキだが、ロードバイクにもここ数年、油圧式ディスクブレーキの車両が急増中だ。UCIのトップカテゴリーにおいては2016年に一度トライアルが中止されたが、2017年には再開。年初のレースでは、ディスクブレーキ搭載バイクが初勝利を挙げて話題を呼んだ。UCIレギュレーションで解禁間近と噂されるこのディスクブレーキ。今後、ロードバイクでも主流となることは間違いないが、メンテナンスにおいてはワイヤー式とあらゆる概念が異なるため、これまでロードバイクに接してきた人であっても、一から手順を覚える必要がある。

 

ブレーキ本体をワイヤーを介してレバーで引いていた従来のキャリパーブレーキと異なり、ディスクブレーキは専用のフルード(シマノの場合はミネラルオイル)を使用する。レバーを引くことでチューブ内のフルードがキャリパーに移動、キャリパー内のピストンが押し出されることで、ピストンに装着されたブレーキパッドがホイール側に固定されているブレーキローターを挟み込む。これにより制動力を得る仕組みだ。

 

このブレーキフルードは、ブレーキワイヤーと同様、使用回数や年数に伴い劣化してくるため、定期的な交換作業が必要となってくる。作業の工程は、レバー側から新しいフルードを落としてキャリパー側から古いフルードを抜いていくものだが、基準となってくるのがフルードの色。シマノのミネラルオイルの場合、新しいものは濃いピンク色で劣化に伴い色が薄くなってくる。つまり、キャリパー側から流れ出すフルードの色が薄いものから濃い色に変われば、フルードが入れ替わったことになる。

 

交換するにはブラケットのカバーを捲り、最上部のボルトを 2.5 ㎜のアーレンキーで外 し、専用のオイルファンネルを取り付ける。

 

1.ブラケットのカバーを捲り、ブリーディング用のボルトを2・5㎜のアーレンキーで外す。

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2.ボルトにはOリングが付いている。レバー側に残ることもあるのでなくさないように注意する。

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【専用のオイルファンネルを取り付ける】

3.ボルトを外した箇所にシマノのブリーディングキットに含まれている専用のオイルファンネルを取り付ける。

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【ミネラルオイルを入れる】

オイルファンネルにはミネラルオイルを十分に入れておく。

 

4.オイルファンネルにミネラルオイルを注いでいく。オイルファンネルを傾け過ぎると空気が入りやすくなるので注意。

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5.空気の混入を防ぐためにも、余裕を持って溢れない程度までオイルファンネルにミネラルオイルを満たしておく。

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【キャリパー側の準備】

続いてキャリパー側の作業に。ブリードニップルのキャップを外してチューブをつなぎ、チューブの反対側にはビニール袋やボトルなどを使い、流れ出す劣化したミネラルオイルの受けを作っておく。

 

6.ブレーキキャリパー側のブリードニップルを保護しているキャップを取り外す。

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7.ブリーディングキットに含まれているチューブをブリードニップルに取り付ける。

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8.廃油をキャッチするためのビニール袋をチューブの反対側にテープで固定しておく。

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【ミネラルオイルを入れ替える】

9.ブリードニップルのナットを緩めて、ホースとキャリパーに溜まっている古いミネラルオイルを流し出す。

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【ミネラルオイルの色をチェックする】

ブリードニップルのナットを緩めればミネラルオイルがチューブに流れるので、ビニール袋に溜まるミネラルオイルの色をチェック。色が濃くなったところでナットを締めればOKだ。

 

10.チューブを経由してビニール袋に流れ出すミネラルオイルの色をチェック。濃いピンク色に変われば入れ替わった合図だ。

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11.チューブに気泡が含まれていないことを確認しつつ、ブリードニップルのナットを締める。

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【キャリパーからチューブを外す】

12.ブレーキローターにミネラルオイルが付着しないようにウエス等で保護しながらチューブを外す。

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【キャリパー側の準備】

13.ブリードニップルを保護しているキャップを取り付ければ、キャリパー側の作業は完了。

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【ステムのボトルを緩める】

続いてチューブ内の空気を抜く作業に移る。ハンドルを固定しているステムのボルトをハンドルの角度が動く程度に少しだけ緩める。

 

14.ハンドルの角度を変えられる程度まで、ハンドルを固定しているボルトを緩めておく。

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【エア抜き作業をする】

15.ブレーキレバーを握り、ブラケット側とホースに混入したわずかな空気を抜いていく。

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【気泡を目視で確認する】

少しずつ角度を変えながらレバーを握り、オイルファンネルに気泡が上がってくるのを確認。

 

16.混入していた空気がオイルファンネル内のミネラルオイルに気泡として現れる。

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【細かな気泡も取り除く】

さらにレバーやチューブを細かく叩き、細かな気泡を完全に抜き取る。この作業を数回繰り返す。

 

17.ブラケットを叩きながらレバーを握り、細かな気泡まで丁寧に追い出す。

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18.ブレーキホースを叩くことでホース内に残っている細かな気泡の移動を促す。

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19.ハンドルの角度を変えながら15 ~18の作業を繰り返す。気泡が出なくなればOK。

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【オイルファンネルを外す】

20.オイルストッパーをオイルファンネルの内側から中央に差し込む形で蓋をする。

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21.オイルファンネルをネジを緩めるように回しながら、丁寧にブラケットから外す。

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【ボルトを取り付ける】

空気が完全に抜けたことを確認したらオイルファンネルを取り外し、ブラケット上部のボルトを締めれば作業は完了。このときに空気が混入しないよう、ミネラルオイルをレバー側に満たしておくのがポイントだ。

 

22.最初に外したブラケット最上部のボルトを2・5㎜のアーレンキーで取り付ける。空気が混入しないようにブラケット側のミネラルオイルが満たされている状態を確認する。取り外してあったOリングも忘れないように。

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23.ブラケット周辺をウエスで保護しながらボルトを締める。溢れ出たミネラルオイルはウエスで拭う。

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24. ブラケットのカバーを元に戻せば、油圧ディスクブレーキのブリーディング作業は完了。

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ワイヤー式ディスクブレーキの調整

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