コレールが初の家電参入! フッ素加工なしでもこびりつかないIH炊飯器をドウシシャと共同開発

ink_pen 2026/6/24
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コレールが初の家電参入! フッ素加工なしでもこびりつかないIH炊飯器をドウシシャと共同開発
鈴木博之
すずきひろゆき
鈴木博之

フリーランスエディター/ライター。これまでさまざまなジャンルの雑誌編集に携わり独立。現在はモビリティやガジェット、ライフスタイル分野を中心に雑誌・Web媒体で取材・執筆を行う。メーカー発表会や現地取材をもとに、プロダクトの背景や開発ストーリーを掘り下げた記事を得意とする。

アメリカのガラス製食器ブランドとして知られるCORELLE(コレール)とドウシシャが、フッ素加工を使用しないIH炊飯器を共同開発したと発表しました。

一般的な炊飯器の内釜にはフッ素加工が施されていますが、新製品は独自技術によってフッ素を使わずにこびりつきを抑えているのが特徴です。そのベースとなったのが、2024年9月に発売したステンレスフライパンシリーズ「DuraNano(デュラナノ)」で採用されている技術です。

国際特許のフライパンから生まれた独自技術「DuraNano」

コレールブランズのカントリーマネージャーである水谷純氏によると、DuraNanoは従来のフッ素コーティングとはまったく異なる技術とのこと。304ステンレス鋼の表面にチタンやジルコニウム、セラミックなどの粉末を散布し、超高温レーザーによって融合加工することで金属表面そのものを改質しています。一般的なコーティングのように表面を覆う構造ではなく、金属と一体化するため剥がれる心配が少ないのが特徴です。また、表面にはハスの葉のような微細な凹凸が形成され、水や汚れを弾きやすい性質を持たせています。

DuraNanoの技術は国際特許として認められており、実際にフライパン製品は「内面のこびりつき」に対して全世界共通で10年保証を付与。さらにコーティングではないため、金属製のヘラやフライ返しも使用可能です。強火調理にも対応しており、従来のフッ素加工フライパンとは異なる使い方ができます。

↑コレールは食器だけでなく、キッチンツールやフライパンも販売する。

水谷氏によると、この技術を日本市場で展開するため20〜30社に提案したものの、多くの企業は新技術に対する不安やリスクを理由に採用を見送ったといいます。そんな中で、早い段階から興味を示したのがドウシシャでした。2023年から共同で準備を進めており、日本市場で成功したフライパンに続いて、今回のIH炊飯器の発売につながったと説明しました。

背景にあるPFAS問題への関心の高まり

ドウシシャの井上大輔本部長は、開発の背景として「PFAS問題」の存在を挙げました。

PFASは有機フッ素化合物の総称で、耐熱性や耐水性、耐油性などに優れることから、幅広い製品で利用されてきました。一方で自然環境の中で分解されにくいことが課題とされており、欧米では規制強化の動きが進んでいます。日本国内で販売されている炊飯器やフライパンには、すでに使用が禁止されているPFOS・PFOA(どちらも代表的な有機フッ素化合物の一種)は使われていません。それでも井上氏は、「もっと安心・安全な製品を届けたい」という考えから、PFASフリーの炊飯器開発に取り組んだと説明します。

同社の調べによると、日本のフライパン市場は、フッ素加工のアルミフライパンが約80%を占め、セラミック約10%、ステンレス約8%、鉄その他約2%の構成とのこと。しかし、近い将来フッ素加工フライパンが市場から姿を消す可能性もあるとの見方を示し、DuraNanoはそうした流れを見据えた技術だと位置づけました。

フライパンの技術を、なぜ炊飯器の内釜に応用したのか

↑フッ素加工をせずにこびりつきにくい技術を投入したIH炊飯器。

今回の発表でもっとも注目したいのは、フライパンの技術を炊飯器へ応用した点です。一般的な炊飯器の内釜はアルミ製にフッ素加工を施したものが主流。そのため、お米がこびりつきにくい反面、アルミは放熱性が高く熱ムラが起こりやすいという欠点があります。

一方、ステンレスは熱しにくいものの、一度温まると冷めにくい素材です。井上氏は、この特性がお米をおいしく炊くのに有利になると説明しました。そこでDuraNanoテクノロジーを採用することで、ステンレスでありながらこびりつきにくい内釜を実現したといいます。

↑ステンレス表面が固く、ツルツルしているためレーザーで印字。

内釜はフライパン同様に、ステンレス・アルミ・ステンレスの三層構造を採用。中央のアルミ層が熱を効率よく伝え、ステンレス層が蓄熱性を担います。さらに釜底を球面状にすることで熱対流を発生させ、ふっくらとした炊き上がりを目指したとのことです。

炊飯モードは白米、炊き込みご飯、おこわ、玄米、おかゆなどを含む11種類を搭載。そのほか、再加熱や冷凍ご飯モード、低温調理モードも備えており、炊飯以外の用途にも対応します。炊飯容量は5合で価格は3万3,000円(税込)。2026年5月下旬から順次発売。

フライパンは10年保証、炊飯器は5年保証? その理由を聞いてみた

発表会で気になったのが保証期間です。同じDuraNanoテクノロジーを採用しているにもかかわらず、フライパンは10年保証なのに対し、炊飯器の内釜保証は5年となっています。発表会で担当者へ確認したところ、5年という期間は耐久性の限界ではなく、高級炊飯器では内釜5年保証を採用するメーカーが多く、市場慣行を踏まえた設定とのことでした。

実際には炊飯器の内釜はフライパンほど高温にならないため、耐久性としては10年以上の使用も十分考えられるといいます。一方で、製品自体が10年以上継続して販売されるかどうかは分からないため、現実的な保証期間として5年を設定したそうです。

炊飯器市場では加熱方式や内釜素材の競争が続いていますが、「フッ素加工を使わない」というアプローチは珍しい存在です。コレール初の家電としてだけでなく、フッ素加工に頼らない炊飯器という新たな選択肢としても注目を集めそうです。

↑発表会では老舗「日本橋ゆかり」野永喜三夫シェフがコレール商品を使って調理。

参考 ドウシシャ

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