パイオニアのカーAVブランド「カロッツェリア」から、車載用として国内初となるDolby Atmos(ドルビー・アトモス)対応ディスプレイオーディオ「DMH-SF1000」が登場しました。
近年、Apple Musicをはじめとする音楽配信サービスの普及により、立体音響技術であるドルビー・アトモスへの注目が高まっています。従来のステレオ再生では味わえない、音に包み込まれるような没入感が魅力ですが、再現には多くのスピーカーを必要とするマルチチャンネル化は欠かせず、車内で楽しむには高いハードルがありました。
DMH-SF1000は、その課題を解決しながら新しい車内エンターテインメント体験を提案する注目モデルです。今回は2026年1月に米国・ラスベガスで開催されたCES2026での試聴体験も交えながら、その魅力を紹介します。
4スピーカーでDolby Atmosを実現
DMH-SF1000最大の特徴は、パイオニア独自の音響処理技術とドルビー・アトモス再生技術を組み合わせることで、一般的なフロント/リアの4スピーカー構成でも立体的な音場を再現できる点にあります。
これまで車載環境でドルビー・アトモスを楽しむには、多数のスピーカーを追加した本格的なシステム構築が必要でした。しかしDMH-SF1000では、既存のスピーカー構成を活用しながら、音が上下左右に広がる空間表現を実現しているのです。

さらに、パイオニア独自の「オートタイムアライメント&オートイコライザー」によって車内の音響特性を補正。車種ごとの環境に合わせた最適なサウンド設定を自動化しているのも見逃せないポイントです。


また、リスニングポジションは「Driver」「Front」「All」の3モードを用意。ドライバー中心の音場から同乗者全員で楽しめる設定まで、用途に応じて選択できます。
ステレオ音源も立体的に楽しめる
新たに搭載された「ステレオスペーシャルサウンド」も大きな見どころです。この機能は、Apple CarPlayやAndroid Autoで再生する通常の2チャンネルステレオ音源を独自の音場処理によって立体的なサウンドへと変換するものです。

効果の強さは「LOW」「HIGH」「MAX」の3段階から選択可能。これにより、ドルビー・アトモス対応楽曲はもちろん、普段聴いている音楽でも空間オーディオのような広がりのあるサウンドを体験できるというわけです。
スマートフォン連携も進化して40種類以上の操作が可能に
DMH-SF1000はスマートフォンとの連携機能も充実しています。
専用アプリ「PxLink」を利用すれば、楽曲再生やイコライザー調整など40種類以上の操作をスマートフォンから実行可能です。Apple CarPlayやAndroid Autoを表示したままでも本体設定を変更できるため、操作性が大きく向上しています。

また、Apple CarPlay利用時にはスプリットスクリーン表示に対応。地図とオーディオ操作画面を同時に表示できるため、利便性も高められています。
ハイエンドモデルにふさわしい充実の音響性能
音質面でもDMH-SF1000は高い実力を備えています。
フルカスタム高性能48bitデュアルコアDSPを搭載し、13バンドグラフィックイコライザーやタイムアライメント、ネットワークモードなど本格的なサウンドチューニング機能を採用しています。
さらに、USBによるハイレゾ音源再生やフルHD動画再生にも対応。ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoも利用でき、快適な車内環境の下でフルスペックの高音質サウンドが楽しめるのも見逃せません。
10.1インチ大画面と光の演出機能を搭載
ディスプレイには10.1インチの大画面を採用。本体は1DINサイズのフローティング構造とすることで、約473車種への装着を可能にしました。
さらに、ディスプレイ上部には「ルミナスバー」を搭載。音楽やナビゲーションと連動して発光し、車内空間を演出します。音楽のリズムに合わせて発光する「ミュージックライド」や、右左折案内と連動する「ルートガイダンスサポート」などを備え、音と光を融合した新しいエンターテインメント体験を提供してくれます。
後付けとは思えない圧倒的な立体音響
CES2026のパイオニアブースでは、海外版となるメディアレシーバー「SPHERA」を搭載したトヨタ・ハイランダーで試聴しました。試聴車には低域補強のためサブウーファーが追加されていましたが、基本構成は純正4スピーカーシステムです。



試聴したのは、ドルビー・アトモスのデモ楽曲として知られるTiesto and Sevennの「BOOM」。再生が始まると、音が運転席周辺を縦横無尽に移動し、空間全体を包み込むようなサウンドが広がりました。低音の再現性も高く、従来のサラウンド再生とは異なるリアリティを実感できます。
エルトン・ジョンの「ロケット・マン」ではピアノのタッチ一つひとつが明確で、後付けシステムとは思えない自然な立体感が印象的でした。
Apple Musicではすでに数百万曲がドルビー・アトモスに対応しており、洋楽やJ-POP、クラシックなど幅広いジャンルでその魅力を楽しめます。DMH-SF1000は、それらのコンテンツをたった4つのスピーカーで臨場感豊かに楽しめる環境を提供してくれるのです。これには驚きを隠せませんでした。
カロッツェリアらしい“音へのこだわり”が復活
DMH-SF1000は単なるディスプレイオーディオではありません。
ドルビー・アトモスによる立体音響、ステレオ音源の空間化技術、車内音場補正機能、そして音と光を融合した演出機能を組み合わせることで、これまでにない没入感のあるドライブ体験を実現しています。
近年のディスプレイオーディオはスマートフォン連携機能が中心となっていましたが、DMH-SF1000は「音体験」という新たな価値を提案しています。その姿勢には、かつてカーAVブランドとして高い支持を集めたカロッツェリアらしい音へのこだわりが感じられます。
愛車のオーディオ環境をグレードアップしたいユーザーにとって、DMH-SF1000は見逃せない一台となりそうです。

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