2027年末までに、一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入が段階的に終了します。
「蛍光灯がなくなるなら、切れたときにLEDランプへ交換すればいい」。そう考えている人も多いかもしれません。しかし、蛍光灯器具は長年の使用によって内部も劣化しており、器具とLEDランプの組み合わせを誤ると発煙・発火につながる恐れもあります。「蛍光灯からLEDへの単純な置き換え」では済まない事情があるのです。
こうした事情を踏まえて、パナソニックは「パルック LEDラインランプ搭載照明器具 体験セッション」を開催。「あかりの2027年問題」と、蛍光灯からLEDへ移行する際に知っておきたいポイント、新製品「パルック LEDラインランプ搭載 設備照明シリーズ」を紹介しました。

2027年末になっても、いまある蛍光灯は使える
背景にあるのが「水銀に関する水俣条約」です。家庭で多く使われている直管形・丸形蛍光ランプは、2027年12月末までに製造・輸出入が禁止されます。パナソニックはそれに先立ち、2027年9月末で生産を終了する予定です。
ただし、2027年末になった瞬間に家庭の蛍光灯が使えなくなるわけではありません。鈴木氏は「禁止されるのは製造および輸出入となり、在庫の販売や、ご家庭でのご使用については何も問題ございません」と説明。流通在庫の販売・購入や、すでに使っている蛍光灯の継続使用までは禁止されない点に言及しました。
「知っている」は6割超。でも交換検討は8.8%
パナソニックが2026年3月に行った調査(20〜70代男女7780人対象)では、蛍光ランプの製造・輸出入禁止を知っている人は63.5%。一方、「現在LEDへの交換を具体的に検討している」人はわずか8.8%にとどまりました。

鈴木氏も「具体的にアクションを検討されている方は1割にも満たない。ここの周知をもっと広めなければいけない」と話します。LED化率にも差があり、丸形蛍光灯の代替となるリビングのシーリングライトが57.5%なのに対し、直管蛍光灯が多く使われてきたキッチンの流し元灯は22.1%にとどまります。
なお、自宅の照明が蛍光灯かLEDかを確認したい場合、シーリングライトなら、カバーを外すのがわかりやすい方法です。筒状のランプなら蛍光灯が多く、粒状の光源が並んでいればLEDです。ランプの品番でも判別でき、「FL」から始まる品番は蛍光灯、「EF」から始まる品番は電球形蛍光灯が多いとされています。

「ランプだけLEDに交換」は要注意
LED電球は電源回路がランプ側にあるのに対し、蛍光灯器具は「安定器」という電源部品が器具側にあります。
鈴木氏は、「ランプを交換しても戻るのは明るさだけなんですね。経年劣化は止まらないという課題がございます」と説明します。

さらに、蛍光灯器具にはスタータ式・ラピッド式・インバータ式など複数の点灯方式があり、安定器にも銅鉄式・電子式といった種類があります。組み合わせを誤ると正常に点灯しないだけでなく、発煙・発火などにつながる恐れがあります。

会場のパネルでは実際に焼損した器具の写真とともに、10年を超えると経年劣化による故障リスクが高まると説明されていました。
鈴木氏は「お客様に安心して何も考えずに使っていただくためには、器具ごとの交換を推奨していきたい」と話します。

ランプだけ交換できる新製品が登場
一体型のLED照明器具が主流となる中、光源が寿命を迎えるたびに器具ごと交換・電気工事が必要になるケースもあります。蛍光灯のように「ランプだけ交換する」という使い方がしにくいわけです。
そこでパナソニックが9月上旬から発売するのが「パルック LEDラインランプ搭載 設備照明シリーズ」です。ラインナップは「LED流し元灯」(キッチン向け)と「LED多目的灯」(納戸・クローゼットなど)。9月発売は流し元灯8品番・多目的灯4品番の計12品番で、10月には本体のみ2品番と別売ランプ単品が追加されます。

最大の特徴は、器具交換後は蛍光灯のようにランプ部分だけを自分で交換できること。新製品を紹介したライティング事業部 ライフスタイルライティングBU 営業企画部の飯山武臣氏は、「今回の設備照明シリーズは、器具交換後は消耗品となるランプをお客様ご自身で交換いただける」と説明します。
交換は、ランプの片側を差し込み、反対側を「カチッ」と音が鳴るまで押し込むだけ。飯山氏は「この2アクションだけでランプの取り付け・取り外しが完了する」と話しました。ランプは昼光色・昼白色・温白色・電球色の4色を展開。器具を交換せずランプだけで光色を変えることもできます。

ランプの定格寿命は4万時間で5年保証付き(器具本体は1年保証)。JIS規格「GR6d」の口金を採用し、誤装着のリスクにも配慮しています。
流し元灯は壁付けキッチン向けの片側配光タイプと、対面キッチン向けの両側配光タイプがあり、いずれもランプの端まで光るシームレスなデザインを採用しました。従来品はランプの端に口金があり発光しない部分がありましたが、カバーレス構造によって器具とランプが一体に見える仕上がりになっています。
設置の際も、電源線を取り回しやすい特許取得の「配線ポケット構造」により、既存器具からの交換時の施工性に配慮されているといいます。


LED化で電気代はどれくらい下がる?
このほか、会場のパネルでは、蛍光灯器具からLEDシーリングライトへの交換で、消費電力が84Wから37W(約56%ダウン)、年間電気代が約5200円から約2300円(約2900円お得)、10年間で約2万9000円の節約になるという試算が紹介されていました。

LED照明は一度設置すると長く使うものだけに、耐久性も重要です。パナソニックでは、LEDシーリングライトの高温高湿通電試験や耐熱疲労試験、LED電球の連続点灯試験などを実施。公的な試験項目を上回る独自基準で品質試験を行っていると説明します。

90年にわたり家庭を照らしてきた歴史
会場では、長年にわたって日本の家庭のあかりとともに歩んできた、パナソニックの照明事業の歴史も紹介されました。パナソニックの創業者・松下幸之助氏は1918年に二股ソケットを発売しており、これがものづくりの原点とされています。

それから18年後の1936年、白熱電球の生産開始が「あかり事業」の創業と位置づけられ、2026年で90周年です。1951年に直管蛍光灯を発売してからは約75年にわたり、蛍光灯を手掛けてきました。

鈴木氏は「日本の家庭を長年にわたり照らしてきたという歴史は誇りであり、その思いはLEDになっても引き継いでいきたい」と話しました。
これまで生産してきた直管蛍光灯を横につなげると約410万km。地球を100周以上する長さになるといい、長年にわたり数多くの家庭を照らしてきた実績がうかがえます。

「2027年問題」を、わが家のあかりを見直すきっかけに
2027年末になっても家庭の蛍光灯が突然使えなくなるわけではなく、慌ててすべて交換する必要はありません。しかし今回のセッションで印象的だったのは、「蛍光ランプをLEDランプに替えれば、それで終わりではない」ということ。
長期間使ってきた蛍光灯器具は、安定器などの内部部品も経年劣化しています。特に盲点になりやすいのが、リビングよりLED化が遅れているキッチンの流し元灯や、納戸などに残る直管蛍光灯です。
一方で、LED化は「蛍光灯がなくなるから仕方なく行う」ものでもありません。消費電力を抑えられるうえ、長寿命で交換の手間を減らせるなど、照明をより快適にするメリットがあります。今回の「パルック LEDラインランプ」のように、LEDになっても光源だけを交換しながら器具を長く使える製品も登場しています。
蛍光灯が切れてから慌てるのではなく、まずは家の中にどれだけ蛍光灯が残っているか、照明器具を何年使っているかを確認してみる。「あかりの2027年問題」を、わが家の照明をより快適なものへアップデートするきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
