【西田宗千佳連載】先制攻撃で逃げ切れるか? Galaxy Z Fold8が敷く「4:3」の防衛線

ink_pen 2026/9/2
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【西田宗千佳連載】先制攻撃で逃げ切れるか? Galaxy Z Fold8が敷く「4:3」の防衛線
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.165-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はサムスンが発売した「Galaxy」の2つ折りスマートフォンの話題。開いたときの縦横比が4:3のモデルを登場させた狙いは何か。

今月の注目アイテム

サムスン

Galaxy Z Fold8

26万9880円(256GB/12GB)~

↑フロント画面は5.5インチで縦横比16:10、開いたときは7.6インチで4:3のディスプレイを搭載。フロント画面でも、開いた状態でも動画や電子書籍などのコンテンツを楽しむのに適した縦横比となっている(画像提供/サムスン)。

コンテンツ視聴に最適な4:3の縦横比

サムスンは8月7日、折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」(以下、Fold8)を発売した。韓国では、Fold8を含む3つの新製品の予約台数が発売前に合計144万台を超えた。144万台のうち7割、およそ100万台がFold8であったという。

Fold8の特徴は縦横比にある。閉じたときは16:10、開いたときは4:3という形で、少しコンパクトで横長な形状になった。これは「開いた状態で映像や電子書籍を楽しみやすいように」という判断で選択されたものだ。

2025年発売の「Fold7」や2026年の「Fold8 Ultra」では、開いたときに11:10と正方形に近く、閉じたときは21:10で細長く持ちやすさを重視した形状が採用されている。スマホとしての使いやすさを考えると、こちらのほうが評価は高く、「Fold8が出てもUltraを選ぶ」という既存ユーザーも多い。

実際、4:3に近い縦横比を採用した折りたたみスマホは過去にもあり、発想として珍しいものではない。しかし、折りたたみスマホ登場から時間が経過し、今後より幅広い層へと認知を拡大していくには、「映像を見たり電子書籍を読んだりするのに最適」という、わかりやすい違いをアピールする必要があったということだろう。

では、なぜサムスンはここで折りたたみのラインナップを増やしたのだろうか? 理由はシンプル。強力なライバルがやってくるからだ。

最大のライバルに先行し、新たなニーズを取り込む

本原稿を執筆している8月の段階では“噂”でしかないが、今秋アップルは、iPhoneのラインナップに折りたたみモデルを加えるとみられている。いうまでもなく、アップルはサムスンにとって最大のライバル。アップルが折りたたみを発売するとなれば、サムスンの市場に影響が出るのは間違いない。

アップルは4:3型の折りたたみスマホを企画していると言われている。ケースメーカーやスマホ向け部材メーカーなどから得られる情報を勘案すると、どうも確度は高いようだ。

エンターテインメントに強いアップルが、サムスンなどと異なる縦横比の製品を出せば、当然注目されるだろう。だからこそサムスンは、先手を打つ形で4:3型折りたたみスマホを出す必要があったのだ。

折りたたみスマホ最大の欠点は価格だ。ディスプレイが大型化するなどの理由から、通常のハイエンドスマホより高価になる。仕事やプライベートな理由から、スマホを2つ持つ人も増えた。そのため“AndroidとiPhoneの2台持ち”市場は十分にある。だが、高価な折りたたみスマホを複数買う人は少ない。ガジェットマニアを除くと少数だろう。

だとすれば、ライバルの先手を打つことは販売戦略上、一般的な形状のスマホ以上に重要な要素になってくる。

では、折りたたみスマホは縦横比だけで良し悪しが決まるのかというと、そうではない。同じ縦横比でも、細かな機能や構造で評価が変わってくる。

それはどんな要素なのだろうか? サムスン以外のスマホメーカーは折りたたみをどう見ているのだろうか? そうした点は次回以降で解説していく。


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